遊び心のあるプロダクトを多く展開する「D-BROS」。2003年の発売以来、ロングセラーとなっている商品「フラワーベース」の新作が発売された。フラワーベースは、ビニールでできた折りたためる花器として話題を呼び、現在までに70種を超えるデザインが生まれた。今回でシリーズは15作目となる。
これまでのフラワーベースは、下のイメージ動画のように花器のシルエットを大事にしたもので、遠目で見るとまさに硝子の花器のように見えるデザインだった。
しかし、新作はあえて花器の形を意識せず、ビニールそのものの形が色でパキッと見えてくる。テーマは「2トーン」で、上半分が不透明なマット、下半分がクリアな質感になっている。水を注ぐとクリアの下半分はより透明度を増すため、質感の違いが際立つようにデザインされている。
2003年からデザインを担当しているキギは、今回のシリーズについて新しい挑戦になったと話す。
「今までは花器の形ありきで、柄をどうするかと考えてきましたが、今回は柄という考え方をなくしました。初めて花器の形になっていないデザイン、そこが今回の新しいチャレンジです。プロダクト専門のデザイナーだったら、もっと早い段階でこの入り口に入るのかもしれないですが、我々はグラフィックデザインをベースにしているので、花器のシルエットが重要だったんです。いかに硝子の花器にのように見せるかではなく、ビニールの質感を愉しむようなデザインの考え方にシフトしました」
インテリアにビビッドな彩りを添える2トーンのフラワーベース。春の訪れとともにD-BROSから「花のある生活」の提案だ。
ブランド:D-BROS
グラフィックデザイン、広告制作を主とした株式会社ドラフトのプロダクトラインとして1995年に発足したデザインプロジェクト。グラフィックデザイナーの視点から、デザインの楽しさを伝える遊び心のあるプロダクトを発表している。
デザイナー:キギ
アートディレクター植原亮輔氏と渡邊良重氏が設立したデザイン会社。D-BROSのプロダクトデザインの仕事、作品制作などで共同制作を多く手がける。ほかにPASS THE BATON、une nana coolなど、多くのブランドのアートディレクションに携わっている。