桐山登士樹が選ぶ 注目のデザイナー

COLUMN 樹幹通信 桐山氏の近況やデザインの話題をお届けします

2010年12月

トラフ鈴野浩一さんと能作克治さんトラフ鈴野浩一さんと能作克治さん

会津若松の漆器ブランド「BITOWA」の開発に携わって6年が経過した。ジャパンブランドの優等生と言われているが、まだまだ実態は満足できるレベルにない。今年から高岡銅器のプロデューサーを仰せつかり、新たなビジネス創出に向けて着々と準備を進めている。ただ、この両者に共通するのは、「ブランド」に関する知識、経験、戦略的意味が浸透していない。勉強不足だ。 class="mt20"「直ぐに売りたい」「何処でも扱ってくれる所に」これではブランド=価値を醸成する事はできない。しっかり子供を育てる様に戦略的に事を織り込んで行く作業がビジネスの成功への基本だ。時間を工面して、いま行っているブランドストーリーを本にまとめなくてはならないと感じている。先日ご一緒した川島蓉子さんは、協力しますと言ってくれた。何とも心強い。

昨日、ミントデザインズの勝井さん、八木さんとお昼をご一緒した時の会話が印象に残った。欧州では着ている洋服でホテルやレストランの対応が変わる。だから気を入れ自分を見せる努力を惜しまない。日本人はみんな公平だからファストファッションでもブランドでも何でも良しとする社会だ。だからファッションに拘らない人が増加している、といった内容だった。競争心や向上心のない社会がデザインにとって、危険な兆候である事をわからせるのもデザインの重要な課題だ。

2010年11月

プロダクトデザインコンペションの審査風景プロダクトデザインコンペションの審査風景

10月は国内外を飛び歩き、事務所にいたのは4日間のみ。行く先々で出会うデザインと、デザインを取り巻く環境は刺激的だった。

ヴェネチアビエンナーレでは建築環境のボーダーレス化に接し一時混沌としたが、ヴィム・ヴェンダースのロレックス・ランニングセンター(設計:SANAA)の3D映像を3回見て「精神と秩序」に結びついた。某大手企業のパリでの発表会では、日本の企業と歩むべき方位について確信を得ることができた。その帰りの飛行機で、妹島和世さんと遭遇。プリッカー賞とビエンナーレの総合ディレクションのお祝いと、日本人の活躍がいま国際社会で最も必要な時なので本当に嬉しいと伝えた。

17回目の富山プロダクトデザインコンペティションの審査会では、明確なデザインプロデュース体制を築かなくてはならないと自らの課題を認識した。ただ、現在活躍している多くのデザイナーがこのコンペを登竜門としている事は素直に喜びたいが、そこそこの実績で満足する場合でないという自覚。ジャパンブランド一年目の高岡は、自ら設定した開発テーマとデザインで今後の産地の核となるビジネス(マーケット)を作りたいと考えている。その為、ついつい参加企業、メンバーに熱く語ってしまっているが、この性格は変えられない。

22日で終了した東京コレクションのファッションショーや、現在開催中のDESIGNTIDE TOKYOのミッドタウン会場、OZONE「HIRAMEKI」、AXISなど、時間の許す限り観て回っている。すべてに共通するのは、デザインと領域の拡大、変化であり、それぞれの存在の明確化である。

最後に、安藤忠雄さんから電話をいただいた。安藤さんは11月3日に文化勲章を授与されるとの事。信念に基づく数々の快挙、本当におめでとうございます。受賞直後の11月5日に世田谷区民会館ホールで開催される「「安藤忠雄・建築との出会い、人との出会い」」で喜びの声を聞きたい。

2010年10月

香港のジュエリーフェアのJJAブース香港のジュエリーフェアのJJAブース(デザイン:乾久美子)

今回の香港出張は先閣列島のニュースが飛び交う物騒な出来事の最中であったが、現地はいつものエネルギーにみち溢れていた。政治は政治、経済は経済、これがグローバルスタイルだ。情報化時代では、ニュースに踊らせない客観的な視点と分析が必要だ。

さて、週末からミラノ、ベニス、パリへ出かける。ベニスでは妹島和世さん監修の建築ビエンナーレが楽しみだ。建築家石上純也氏の金獅子賞の作品はアクシデントで壊れてしまったが、その延長作品は現在開催中の豊田市美術館で観賞可能、というメールを石上氏から頂いた。帰国後に訪れるのが楽しみだ。そういえば映像アーティストの高橋匡太氏からは愛知万博跡地に完成した地球市民交流センターに常設の作品「Color Globe」が完成したと映像が送られて来た。ナガオカケンメイ氏から金沢21世紀美術館での案内が執筆中に届いた。こうして見ると都市は新たなクリエーションの機会を創出することによって、都市イメージの再構築を図っている。この動きを冷静に観察・分析する事によって、新たな形態が考え出せるかもしれない。

お知らせを2つ。10/19午後から富山の第一ホテルで富山プロダクトデザインコンペティション2010の最終公開審査会があります。その後、建築家の平田晃久さん、カーデザイナーの和田智さんのデザイントーク、参加は無料です。11/5に世田谷区民会館ホールで安藤忠雄さんの講演会と一夜限り安藤作品展を行います。こちらはチケット代1000円です。

●富山プロダクトデザインコンペティション2010
http://dw.toyamadesign.jp/
●講演会「安藤忠雄・建築との出会い、人との出会い」
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/040/d00009119.html

2010年9月

オフィスでビールパーティ、9月も開催予定オフィスでビールパーティ、9月も開催予定

知人(大御所)のジュエリーデザイナー石川暢子さんからの要請で、今年から日本ジュエリー協会の海外展開分科会長の役を仰せつかり、事業展開を練っている。日本のジュエリー産業の歴史は意外と浅く、約半世紀ほどだ。昔は国内需要だけで成立していたが成熟期が過ぎ、今後は新たなマーケットを開拓しなくてはならない。ここまではどの産業も同様だ。しかし、世界の並みいるコンペティターと対等に競争するとなると、日本の「技術」「品質」「デザイン」の三軸を明確化し、ジャパンブランドの「価値=強さ」をアピールしなくてはならない。

その第一弾として、9月16日から香港で開催さる「Hong Kong Jewellery & Gem Fair 2010」に出展する。会場構成は建築家の乾久美子さんさんに依頼し、メンバーの作品から特色あるジュエリーを選考し出品する。これまでの海外ブランド展開の私なりの経験があるので用意万端だが、果たして躍進著しいアジアの富裕層にどう映るやら。次の展開に繋がれば良いと思っている。

同時期、上海で開催される「上海国際創意産業博覧会」もボランティアでお手伝いしている。今後は中国との関係も密になるので、すべてが厳しい条件だが最低限のクオリティはキープし日本の意志を示したいと思っている。

JDN ミラノサローネ2010
http://www.japandesign.ne.jp/HTM/JDNREPORT/salone/10/

2010年8月

  写真左からステファノ、伊藤節、ジェームス、富田一彦の各氏

ミラノに出張中の7月17日、森ひかるさんのスタジオでパーティが開催された(写真)。ステファノ・ジョバンノーニやジェームス・アーヴィンなど、多くの知人に再開した。帰国して、さっそく酷暑を乗り切るべく事務所でビールパーティを開催。川上元美さん、名児耶秀美さん、平田晃久さんなど、多くの友人知人が集まってくれた。最近はネットやブログ、ツィターに頼る傾向があるが、時にじっくり語り合えるサロンが必要。何故なら物質的なモダンデザインから距離感を埋めるデザインへ大きくシフトしている時だけに、異脳の交流が必要だ。年齢、ジャンルを超えた大きなウネリを作りたい。

東京から6時間クルマを飛ばして金沢に来た。金沢21世紀美術館で今月31日まで開催している「ヤン・ファーブル × 船越桂―――新たな精神のかたち」観賞と長距離ドライブが目的。この展覧会では二人の作家の個性は際立っていてよかったが、コンセプト展示のブース14はキュレーターが結局何が言いたいのか、何故この作品なのか、消化不良のまま見終わった。出る様、図録を買い求めて新たな精神のかたちとやらを解読中。

友人の吉岡徳仁氏がアーティストとして参画している「ネイチャー・センス展」は、なかなか見応えのある展示。特に初めて出会った栗林隆氏の作品に興味を持った。最後に17回目となる富山プロダクトデザインコンペションの締め切りが迫っています。新人デザイナーの登竜門、新人デザイナーはトライアルして下さい。

JDN ミラノサローネ2010
http://www.japandesign.ne.jp/HTM/JDNREPORT/salone/10/

2010年7月

佐藤オオキ、佐野研二郎の両氏によるデザイントーク佐藤オオキ、佐野研二郎の両氏によるデザイントーク

エステー・デザインアワード2010の最終選考会はとても新鮮な機会であった。最優秀賞を決定する審議会は多いに揺れた。「アワードとして相応しいデザイン」と「ビジネスとして相応しいデザイン」の真っ向勝負となった。季節限定品ではあるが、この冬に製品化され販売される事を公募の約束していたので企業側は真剣であった。方や佐藤オオキ、佐野研二郎の両氏は、デザインが及ぼす効果や企業姿勢に評価の力点が置かれた。その結果、最優秀賞は榮井慎也さんの「SHOSYU POWER'S」に決定。審査員特別賞は、高浜崇さん、高浜真代さんの「Sweet home」と岩水亜沙子さんの「HAPPY AND LOVE」の2点。この審査員特別賞から商品化を検討することになった。発表の前に行われたデザイントーク(写真)では、デザインの見方、捉え方の変化に花が咲いた。ちなみに会場お越しになられた方へのアンケートでは「HAPPY AND LOVE」がナンバー1だった。

カルフォルニアのfrogdesignやziba DESIGNに在籍されていたブレーンの渡辺弘明さんからLEDライト「CCFL light」が送られてきた。その後、オフィスに来ていただき商品化までのストーリーお聞きした。本人的にはまだまだ改善したいようだが、この一ヶ月実際に使用してみて良さがだいぶ理解できた。先ずは本体が発熱しないのでこの時期、特に嬉しい。また、アームがスリムなのでインテリアを邪魔しない。存在が気にならない。気にしていたパーティーラインも使用上はぜんぜん気にならない。主張するデザインではないが「ミニマル」なデザインとしてデザインの方向には合致している。また、新たな事業立ち上げに尽力された点も評価したいポイントだ。www.nisshotec.co.jp

JDN ミラノサローネ2010
http://www.japandesign.ne.jp/HTM/JDNREPORT/salone/10/

2010年6月

オフィスの机の上のiPadとPCオフィスの机の上のiPadとPC

「空気をかえよう」という企業スローガンを掲げるエステーが、デザインアワードを実施したところ、800数件のエントリーがあった。アワードの実施は今回が初めての事だったので、協議の結果、既存商品の着せ替えデザインを求める課題となった。第一次審査の作品を拝見すると、応募者の年代層がひろく、消臭剤といえどもインテリアグッズとして楽しめる要素が求められている事を知った。第一次審査では、多くの作品の中から11点に絞った。また、設定された課題から飛躍した作品にも目を引くデザインがあった。最終審査発表とトークショーは、6月26日17時より六本木・ミッドタウンガレリアにて、佐藤オオキ(nendo)と佐野研二郎の両氏で行われる予定である。(作品展示は、25・26日11:00-21:00)、大賞はこの秋に商品化され発売される。

5月10日のiPadの発売予約日、迷いに迷った末、注文ボタンを押した。基本PCマシーンは、Mac3台+Win 1台の計4台を使用している。プラス携帯+iPhone+iPadの3台にEMのPocketWiFiと海外用携帯で計5台となる。ますます軽快になる流れに逆行している。しかし、新しいものは先ずは使ってみる事を信条としているだけにしょうがない。28日に届いたiPadを週末使用してみて、この機種に魅了された。詳しく書きたいがスペースが足りない。そして、iPhoneはどこかの時点で、さようならしようと決意した。この機種は、海外にいる時に機内モードにしないと、とんでもない使用料金がかかる。今年1月の出張の際は、うっかりしてスイッチを切り忘れ、後からローミング代として4万円弱の請求が届いた。そんな体験から携帯とiPadが理想のスタイルと決意した。

2010年5月

会場にお越しいただいたアンドレア・ブランジ夫妻会場にお越しいただいたアンドレア・ブランジ夫妻

アイスランドの火山噴火の影響で滞在が三日間延びたが、キヤノンの仕事をやり終え気分はとてもハッピーなミラノサローネだった。後日、ロンドンの安積伸さんからメールが届いた。「サローネの即物的な価値観が支配する場所に高度なレベルで映像作品を提示するのは本当に難しいことだと思いますが、今回のNEOREALでは、それがいまだかつて例を見ないほどに成功していたと思います。今年のサローネを振り返り最も記憶に残る作品でした」、とても嬉しいメールだ。安積さんありがとう。来年サローネは、通算50回目の記念の年となる。

この数ヶ月間に二回、デザイナーの柴田文江さんとご一緒する機会があった。話題のカプセルホテル、ナインアワーズプロジェクトのお話を聞いたのだが、明確なデザイン考、自然な語り、随所に際立つプロとしての存在感。さわやかでかっこいい。また自分の感性を磨く為の時間を惜しまない。様々なジャンルの人たちと会い、気になるものは購入して使ってみる。その意欲的な姿勢が素敵だ。サローネで若手のデザイナーにたくさんお会いしたが、柴田さんのライフスタイルはプロを目指す人には参考になる。要チェック!!

初めて首相官邸にメールを送った。普天間の件についてである。宇宙ステーションの時代に感情や利権が絡む特定の土地に基地を作る発想はあまりに古すぎる。日本の土木技術とデザインで海上に浮かび移動できる基地を作るべきだと書いた。故黒木靖夫さんは、生前アメリカの使用済みの空母を海上に停泊させて基地にすべきだと語っていた。ここにも時代に相応しいクリエーティブな発想が必要だ。

2010年4月

NEOREALトリエンナーレ会場NEOREALトリエンナーレ会場

本日からミラノサローネがスタートした。1986年から四半世紀ミラノサローネを取材しデザインの動向を伝え、2005年からはレクサス、そしてキヤノンのブランディングプロジェクトを担当してきた。その間にサローネで成功する秘訣を編み出し、自信をもって臨めるようになった。

今回のキヤノン「NEOREAL」は、八カ月の時間をかけて作り上げた。その間、様々な戦いもあり、その都度調整に追われた。会場選定から制作、運営までどれもが重要な要素だ。しかし、今回の作品は、我ながら凄いと思う。キヤノンが標榜する「デジタルイメージングカンパニー」を具体的にプレゼンテーションできたと思っている。詳しくは下記URLより参照下さい。オープニングパーティは、本日19時からミラノトリエンナーレ会場にて、お待ち申し上げます。

NEOREAL http://canon.jp/milano2010/exhibition/intro.html

先月お伝えしたようにミラノサローネには、日本企業数社と、デザイナーが多数参加する。成熟した時代ではモノ(デザイン)を発表するのではなく、コンセプトをメインに置いた発表であって欲しい。モノのオンパレードでは何も変わらない。時代を動かすコンセプトが最も重要ファクターだ。この数日、目にするのはポストモダニズム時代の象徴であるメンフィスの作品があちらこちらのショップの展示什器として使われている。25年前のあの時代が懐かしい。

3月末に開催された東京ファッションコレクションを三箇所視察した。最近の建築、ファッション界のクリエーター達のアグレッシブな姿勢に注目している。既成概念に捉われない自由な発想、先人達が行った文脈ではないオリジナリティを求める姿勢はたくましい。特に彼らの視野角、表現、コンセプトに刺激を受けることが多い。やっぱデザインは「強く楽しく」ないと駄目だ。

2010年3月

9月に京都の長屋のスタジオで撮影9月に京都の長屋のスタジオで撮影
アーティストの高橋匡太氏(左)

日本企業の各社からミラノサローネに関するリリース発信が始まった。経済の低迷の影響を受け、縮小するデザイン界は新たな活路を見出すことが出切るのか?その動向、展開に興味が募る。

SONYは「Monolithic Design」と題して、ZONA Tortona会場で、英国のBarberOsgerbyを起用し、ホームプロダクツの新デザインコンセプトとして”2010 International CES(国際家電ショー)”にて発表したホーム・エンターテインメント製品の新しいデザインコンセプト「モノリシックデザイン」の世界の発展形を提案する。

刈谷木材工業は「KARIMOKU NEW STANDARD」と題して、市内アートギャラリーを使い、柳原照弘(ISOLATION UNIT)を初め国内外で活躍する外部のデザイナーを起用し、間伐材を使用した新家具ブランド「KARIMOKU NEW STANDARD」を発表する。

パナソニック電工は、「(standard)3-smart スタンダードの3乗」と題して、昨年と同様にブレラ地区でマルティノ・ベルギンツの会場構成で「デザイン」と「快適・エコ」技術が調和したスマートな暮らしを発表する。東芝も建築家田尻誠による展示を予定している。

私がプロデュースしているキヤノンは「NEOREAL」体感映像の原動力 ― キヤノンデジタルイメージングと題して、過去二回と同じトリエンナーレ美術館の700平方メートルのスペースで、アーティストの高橋匡太と建築家の平田晃久のコラボレーションで「プリズムリキッド」と名づけた作品を発表する。会場構成は森ひかるが担当する。(各氏敬称略)私はサローネは企業ブランディングの場であり、世界に向けたコミュニケーションの場であり、デザインの可能性を追及する場であると定義している。

この時期、不眠不休と花粉症との闘いの日々だ。でも楽しい。

2010年2月

メゾンの会場にてメゾンの会場にて

1月22日~26日までムーブル・パリで開催されたメゾン・エ・オブジェに立ち寄った。会場でばったりロンドン在住の安積伸さん、ミラノ在住の冨田一彦さんに遭遇、近くのカフェの片隅でデザイン談義が始まった。お二人からは、欧州におけるアジアのデザインと言えば、日本ではなく韓国になっている。雑誌のデザイン特集でも韓国記事が大部分で片隅に日本が紹介される程度まで評価が下がっている。これは由々しき事だ。政治経済のニュースを見ると、どうでもよい低俗なニュースばかり。これでは国力を著しく失墜させてしまう。こんな事をしていて喜ぶのは隣国の成長勢力だ。日本はもっと世界の中で何を話すべきか、何を伝えるべきか、考えなくてはいけない。という話題で盛り上がった。凄いと言われた日本を取り戻すには、もっと戦略的に国が、デザインが、機能しなくてはならない。日本を遠く離れて自力だけで戦う二人だけに切実な問題だ。胸を張って誇れる国に、企業に、製品に、日本のグランドデザインは再考しなくてはならない。厳しい経済環境下のなか、春のミラノサローネに向けた準備が着々と進行している。次号ではその動向をお伝えしたい。

2010年1月

2011年1月弊社のURLが変わりました。
www.trunk-design.jp

新年おめでとうございます。

昔から高いところが好きでした。悩むことがあれば、高いビルの最上階にあるカフェでコーヒーを啜り、頭の整理をしていました。例えば、新宿パークハイアットのピークラウンジは、今でも好きな場所です。大晦日の23時40分頃、東京タワーが見える場所に行き「2010」に切り替わる瞬間を写真に撮りました。この美しいタワーも後二年足らずで、634メートルの高さとなる東京スカイツリーに主役の座を奪われることになります。翌日も芝のザ・プリンス・パークタワー東京のスカイラウンジで東京の風景を眺めていました。

このマンモス都市にはエネルギーが不足しています。活力が足りません。「変化」を求められる時代、デザインはいいかげん表層のデザインからエネルギー源へと進化しなくてはなりません。今年もたくさんの年賀状をいただきましたが、前向きなコメントも数多くありました。具体的に絵(カタチ)で表現できる力は財産です。あとはスキームです。デザインは、そろそろ個人から脱皮して、明確な目標と指針を作成する戦略集団が軸となり、その上で個々の才能を生かす=プロデュースする時代へ切り替えていかなくてなりません。真面目に考えた正月でした。