Tears of the Manmade

2021

自然の模倣という枠を越えて、人工だからこそできるユニークな形を探求してできた硝子真珠のジュエリーコレクション。

コレクションに使われている硝子真珠は、人造真珠製造に100年以上もの歴史をもつ大阪府和泉市の職人によって一つ一つ手加工で作られている。硝子の核が職人の手によってゆっくりと真珠液の中に沈められ、綺麗な膜をまとってまたゆっくりと引き上げられる。これを幾度も時間をかけて繰り返し、七色に光る膜を積層したのちにこの硝子真珠は形を成す。

天然の真珠が「Tears of Mermaid = 人魚の涙」と呼ばれるのならば、この硝子真珠は職人の技術や思いがつまった「Tears of the Manmade = 人間の手がつくりだした涙」と呼べるかもしれない。そのクラフトマンシップが模倣という言葉の影にかくれてしまわないように。この硝子真珠にはそんな思いがこめられている。

写真:Lonneke van der Palen

本多沙映(デザイナー・アーティスト)

本多沙映(デザイナー・アーティスト)

1987年千葉県生まれ。2010年に武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科を卒業後、IDÉEを経て渡蘭。2013年からアムステルダムのヘリット・リートフェルト・アカデミーのジュエリー学科で学び、2016年に卒業。2021年にオランダから日本に拠点を移し、国内外で自主制作作品を発表するほか、コミッションワークも手がける。

作品はオランダのアムステルダム市立美術館、アムステルダム国立美術館、アーネム博物館にて永久所蔵。著書に「EVERYBODY NEEDS A ROCK」、「Anthropophyta / 人工植物門」(torch press)など。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科非常勤講師。グッドデザイン賞審査員(2023)。

https://www.saehonda.com/

2024/1/17 15:00