「敷地中央に空っぽの広場をつくり、工場の風景を街にひらく」というマスタープランを掲げ、3万平米を超える工場の改修計画を段階的に進めている。現在は2期目が完了し、建築の新築・改修に加え、色彩計画、什器、サイン、ランドスケープなどが整いつつある。

中でも大きな更新は、LABと名付けた開発部門のデザイナーが集う中核施設を工場の中に挿入し、「アーカイブ展示システム」という創業時から蓄積された歴代の製品や資料、試作などを整理し、展示する“スケルトンの収蔵庫”を据えたことだ。

街にひらいて披露するに十分すぎるクオリティの製造プロセスやプロダクトを擁しつつも、それをつくるスタッフがその事実に客観的に気づくことがまず大切だと考えた。ハードの整備に合わせてスタッフの意識が醸成されることで、本当の意味で街に開かれた工場の風景ができあがることを願っている。

写真：西川公朗