玉造幼稚園

2020 / 学校法人浅野学園

敷地は、縄文人が暮らした古墳時代の周溝が残る、太古からの一等地だった。黒く鬱蒼とした森には畏れをも感じたが、そこに差し込むわずかな光は優しく、森が主役になる園がふさわしいと感じた。この森を未来に繋ぎつつ子どもたちの居場所をつくるため、森に対して閉じながら開く形式を考えた。

RCの連続アーチの回廊で外周部を囲い、中央に明るい屋内広場を配置。「森の延長でありながら、陽の光に包まれる場」をイメージした。森の微地形を引き込んだ回廊は、起伏に富んだ格好の遊び場となり、外に内に子どもたちはアーチを抜けていく。春には起伏につまずいていた新入園児も、夏には空を見ながら走り抜けるようになる。

ここにはかつての園にあった大きな遊具はないが、明るい森の中で、子どもたちは環境と友と関わり合う遊びをはじめている。

写真:西川公朗

橋本尚樹(建築家)

橋本尚樹(建築家)

愛知県岡崎市生まれ。Ateliers Jean Nouvel、内藤廣建築設計事務所を経て、橋本尚樹建築設計事務所として活動開始。現在はNHA | Naoki Hashimoto Architects主宰。京都先端科学大学客員准教授。

おもな仕事に「玉造幼稚園」(千葉県成田市/2020)「丹波山村庁舎」(山梨県北都留郡/2022)「Jakuets福井本社改修計画」(福井県敦賀市/2019)。進行中の仕事に「大阪・関西万博 シグネチャーパビリオン」(2025竣工予定)、「久御山町まちづくりセンター」(2025)、「女川町認定こども園及び社会教育施設」(2027)などがある。

https://www.nha.co.jp/

2023/7/12 11:15