第206回 鬼木孝一郎 (建築家・空間デザイナー)

[桐山登士樹の推薦文]

昨年デザイン事務所nendoを離れ、ランディング中の鬼木さんは順調に安定高度に達しつつあるようだ。nendoの事務所が目白や目黒にあった頃にプロジェクトを何度かご一緒したが、常に明るくスマートに対応する姿が記憶に残る。独立後の仕事は今回初めて拝見したが、鬼木さんらしいシンプルな構成の中に随所に見せ場を注入している。特に空間の微妙な変化を素材の特性や、人の心理と擦り合うようにデザインしているのは流石だ。人気事務所を離れ、10年のスタイルを断ち切るのは大変だろうと推測する。が、元来プロジェクトを解読するのが好きな人だけに独自のデザインをこれからは遺憾なく発揮していかれるだろう。これまでにない大胆な空間で独自の美学を提供してくれることを期待したい。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹

デザインディレクター

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

鬼木孝一郎(建築家・空間デザイナー)

鬼木孝一郎(建築家・空間デザイナー)

1977年東京都生まれ。早稲田大学大学院卒業後、株式会社日建設計勤務。その後、有限会社nendo入社。10年間に渡りチーフディレクターとして国内外の空間デザインを手がける。JCD賞金賞、JID賞大賞など、受賞歴多数。2015年、鬼木デザインスタジオ設立。建築、インテリア、展示会の空間デザインを中心に多方面にて活動。

http://www.oniki-design-studio.com/