平野 薫「記憶と歴史」

《machine》 2018 ©Kaoru Hirano Photo: Ken Kato 《machine》 2018 ©Kaoru Hirano Photo: Ken Kato

神奈川・箱根にあるポーラ美術館が2017年10月に、現代美術を展示するスペース「アトリウム ギャラリー」をオープンさせ、1996年よりポーラ美術振興財団が助成してきた若手芸術家たちを紹介する「HIRAKU Project」を開始した。第5回目の展示として、「平野薫-記憶と歴史」展が開催される。

平野薫は、古着や布製の小物などを糸の一本一本にまで分解し、それらを展示空間の中に再構成する繊細なインスタレーションを手がけてきた。ドレスや下着、靴、傘といった身の回りのモチーフは、もともとの素材である糸の状態に戻されることで、撚れ(よれ)や色褪せを一層顕在化させ、それを身に付けていた人の「気配」や「身体性」、そして個人の「記憶」を強く感じさせる。

本展では、身近なモチーフから漂う個人の記憶や経験を扱いながらも、それを歴史という大きな流れの中に還元していくことをテーマとし、3点の傘を組み合わせたインスタレーションと工業用のミシンをモチーフにしたインスタレーションの計4点が展示される。うち、3点は新作となる。

3点の傘を組み合わせたインスタレーションでは、作家が留学したドイツの傘と、故郷・長崎、そして現住地・広島で入手した傘を使用している。3つの都市で出会ったモチーフのインスタレーションが重なることで、これらが歴史的に強い意味を持つ場所であることを想起させる。また、工業用のミシンや糸を使った新作インスタレーションは、これまでの平野の作風とは大きく異なる、新たな展開を予見させるものである。戦時中の重機製造にルーツをもつメーカーのミシンを用い、戦後日本の高度経済成長を支えた工業機器と、私たちが日々消費する衣服や繊維との関係性、そして近代日本の歴史を暗示するかのような作品を試みる。

開催期間 2018/07/22(日)~2018/09/24(月)
※イベント会期は終了しました
時間 9:00~17:00
休館日 会期中無休
入場料 大人1,800円/シニア割引(65歳以上)1,600円/大学・高校生1,300円/中学・小学生(土曜日無料)700円/障害者手帳をお持ちのご本人および付添者(1名まで)1,000円
参加アーティスト 平野薫
会場
  • ポーラ美術館
  • 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
会場電話番号 0460-84-2111
会場URL http://www.polamuseum.or.jp/
詳細URL http://www.polamuseum.or.jp/hiraku_project/05/