すべてがFになる -The Perfect Insider- ED

2015 / フジテレビ

2015年秋季ノイタミナアニメ「すべてがFになる」ED映像。ノイタミナのオープニング/エンディング映像は、アニメ畑以外の映像作家がつくることが多く、過去には細金卓矢さんなど好きな方たちが制作していたので、自分の中での憧れはありました。

ちょっと“ナードくさい”ストーリーなので、自分も“ナードくさい”つくり方で答えようと思いました。プログラミングなどの理系っぽいモチーフが散りばめられているシリーズなので、ディティールに嘘をつきたくなかったというか、すべてのグラフィックや文字要素はそれぞれに根拠のある形で設定から考えています。

中高時代、ハッカー文化やGUI史などについて調べていた時期があります。僕はあまり要領良くコードが書けなかったので、結局プログラマーとして道は諦めたのですが、なにかそういったものへの憧憬というかワナビな感じというのを思い出しながらつくっていました。原作自体はどちらかというと閉鎖的な研究所内の話なので、オープンソースといったものとはあまり関係はありません。

ふつうに手作業でグラフィックを綺麗に配置して動かしてあげるというよりは、ちょっとしたオープンワールドみたいなつくりかたをしています。空間の物理法則やルールを設定して、あとは配置した初期条件がぶわーっと予想外のパターンを”創発”してくれるのに任せるというか。最終的なアウトプット自体をイイ感じに見えるようにこねくり回す、というよりは、ルールや初期条件の方をチューニングすることで、結果を面白い見え方に調整していったという感じです。

【スタッフクレジット】
Director/橋本麦
Animator/pai

http://www.f-noitamina.com/

橋本麦(映像作家/デジタルアーティスト)

橋本麦(映像作家/デジタルアーティスト)

1992年生まれ。ジェネレーティブアートをはじめとしたさまざまなテクニックを用い、作品ごとにワークフローやツールから開発し制作している。手法やエラーに由来する実験的なルックやテクスチャを模索し、これまでにミュージックビデオからWeb、インタラクティブ作品まで多岐にわたって手がけてきた。おもな仕事に、Adobe、NikeLabのプロモーション制作、group_inou、Koji Nakamura、Olga BellなどのアーティストのMV、TVアニメ「すべてがFになる」ED映像など。第19回文化庁メディア芸術祭新人賞受賞。
http://baku89.com/

2017/6/23 14:00