学芸出版社のおすすめ書籍

北欧の建築

エレメント＆ディテール

学芸出版社, アルネ・ヤコブセン, アルヴァ・アアルト, サティスワン,映像・写真,建築

2017/5/25 9:50

北欧を代表する建築家の作品から、日本では知られていない建築家の名作、話題の現代建築まで、多数のカラー写真と図面で巡るシンプルで美しく機能的なディテール。

光、色、構造、素材、窓、階段などのデザイン・エレメントを切り口に、アルヴァ・アールト、エーリック・グンナール・アスプルンド、アルネ・ヤコブセンなど、建築家50人の77作品を紹介。

益子義弘（建築家・東京藝術大学名誉教授）おすすめコメント

「言葉を超えた多くの写真が捉えた、対象の内に潜む芯」

小泉さんの本を手にするのは今回の著作で3冊目になる。建築に織り込まれた北の風土固有の光をテーマとする「フィンランド　光の旅」、この中の中心的存在である建築家・アールトに焦点を絞り、その多様な空間の成り立ちや光の操作のディテールを見届けようとする「アルヴァル・アールト　光と建築」、そして今回の視野を北欧全体に広げた「北欧の建築　エレメント＆ディテール」である。収録された美しいシーンに惹かれてページをたどった。

添えられた文章は、この世界に通底する特色を小泉視点で束ねた5つの要点を章立てとして、とても簡潔である。収録された個々の事例も、説明的でなく、見るべき方向を示唆するにとどめ、やはりその中心をなす魅力は言葉を超えた多くの写真にある。

この「北欧の建築」は、ガイドブックも意図されて編まれているのだが、写し撮られたそれぞれのシーンは、著者の創作的なまなざしがすくい出し、対象の内に潜む芯をとらえた「写芯集」だとも言えよう。