- デザインコンセプト
- 担当:伴 尚憲/株式会社 bandesign
愛知県小牧市のこの住宅は、中心市街地からほどよく離れた田園風景が豊かな場所にある。敷地の東側に流れている川は人口の農業用水であり、景色を楽しむまでの環境ではないが、地域住民からは木津用水(こつようすい)と呼ばれ、農業が広く行われる地域の重要な水資源として機能している。
木津用水と敷地の間には人の行き来が行われる側道があり、小学校の通学路にも利用されている。その東側に建物を開くにはプライバシー確保のために何かしらのアイデアが必要だった。西側には田畑があり、景色は良いが、南は隣地で住宅が建っており、北側は親世帯の隣地がある。そのような状況の下、施主はプライバシーを確保しながら、開放的かつ安心して生活できる住宅を望んだ。
南北32m、東西16mほどの広大な土地に、南北約24mと東西約11mの長方形に仕切り、南西角から北東角の斜めを境に建屋と庭の二つの三角形の空間を配置した。そしてプライバシーを確保するためにRC壁(鉄筋コンクリート構造の壁)を配置。内側には、RC壁の天端まで土盛りして庭をつくっている。東側の外観は一見閉鎖的だが、塀の向こうで住民が浮いているかのように見えるという稀有な場面に遭遇することもある。
庭側からの景色は、RCの塀に向かって土が盛ってあるため、地面が立体的に空へと繋がる。そのアイデアによって、塀で囲うことによる閉鎖感を避け、より開放的に、しかもプライバシーが高い庭をつくることができた。立体的に建屋の屋根へと繋がっていることから、我々はそれを“3D Ground”と呼んでいる。屋根先端には木製デッキが設置されており、それに向かって段差無しで道をつくっている。側には田園風景が開けており、デッキからその景色を望める。室内から見えるその道は、外構デザインの一つになっている。
内部空間は、キッチン、ダイニング、リビングをとおし、外部の庭がパノラマに見えるように連窓を設置した。内部にいながら外部の臨場感をより感じられるような設えにしている。また、1寸勾配の屋根は最上部で余剰空間をつくるため、その空間に子供部屋にはロフトを、夫婦の寝室には小屋裏収納を設けた。
また、大きな特徴のひとつは、土の中に30mを超える塩ビ管を埋設させ、空気を通せるようにしたことだ。利用価値を高めるために地熱利用した空気を24時間換気で利用している。そうしたことで、外気温度プラスマイナス10度前後の温度が計測されており、氷点下の雪の日には暖かく感じ、真夏の暑い日には涼しく感じるくらいの空気を得ることができた。リビングに開放された空気は、勾配天井に沿って上部へと向かい、北側の外壁窓で排気ができる重力換気が成立するような計画になっている。
所在地 | 愛知県小牧市 |
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主要用途 | 専用住宅 |
規模 | 地上2階 |
敷地面積 | 473.97m2 |
建築面積 | 144.53m2 |
1階面積 | 139.49m2 |
2階面積 | 34.98m2 |
延床面積 | 174.47m2 |
建蔽率 | 30.50%(許容60%) |
容積率 | 36.81%(許容160%(200)%) |
構造 | 木造 |
設計 | 伴 尚憲/株式会社 bandesign |
竣工 | 2013年 |