まちなか交流広場「ステージえんがわ」

ヒト・コト・マチをつなげていく「縁側」

デザインコンセプト
担当:三条市 市民部地域経営課コミュニティ推進係

「ステージえんがわ」はこのまちの誰もが使用できる、「見える化」された公共施設。空間の利用目的を見つけ、提案し、実行できる人材発掘機能を有した新しい街のステージである。

誰もが気軽に立ち寄ることのできる「縁側」のような空間は、ヒト・コト・マチをつなげていくハブ機能を有し、開放的な建築と併せた空間デザインのしつらえによって年齢を問わず、外出機会のきっかけづくりやコミュニティの形成につながる。“おもしろそう”と出かけるだけで最も手軽な歩行運動につながり、新たな出会いに意欲が刺激され、自然と健康になれるまちづくり「スマートウエルネス三条」の核として、持続可能なまちづくりを目指す新たな拠点となっている。

建物には外壁が無く、内外の境界が曖昧だ。総延長79.8mの縁側は、天候に関わらず誰でも気軽に立ち寄れる軒下として常に人で賑わう。両端は全面バリアフリーのスロープのため、行き交う人は吸い寄せられるようにこの軒下に入ってくる。屋根は奥に行くに従い、せり上がっている。天井の高い方の軒下は屋外の広場と一体につながって「見える」市民活動の場となり、その様子が家に閉じこもりがちな人達の外出のきっかけにつながると期待されている。

また、市民活動の可視化を目的とした掲示板を屋根付広場に設置し、誰でも施設の利用予定が一目で分かるようになっている。中央部にある食堂客席を中心に、公共施設らしからぬ斬新な家具調度品の採用や庭木のような装花のしつらえが、まるで長い間そこにあったかのような、誰かの家の記憶のような内装空間を作り上げた。

建築物を含む環境、まちづくり、飲食の各ディレクターと十数人にもおよぶ県内外の世代や業種を超えたクリエイター達にコンセプトが共有され、建物だけでなく各取組みにおいても境界がない、一体化された空間としつらえが完成した。彼らの才能と想いが集まり、この建物は今も成長を続けている。この取組みによってつながる人の輪が、この場所で醸され続けること、嵌合結合の木構造が年月を経て味を増し、末長く活用されていくことを願っている。

所在地 新潟県三条市元町11-63
延床面積 277.62m2
構造 木造平屋建て
プロデューサー 三条市
デザインディレクター 近藤ナオ/株式会社アソボット、伊藤一城/スパイスカフェ、山倉あゆみ/foodrop、田中辰幸/ツバメコーヒー、長野源世
デザイナー 手塚貴晴・手塚由比・島田真弓/手塚建築研究所、関川一郎/K-ART
開業日 2016年3月26日