2015年からはじまった、桧や杉など国産材を楽しむ暮らしを提案する家具ブランドKIKOE(キコエ)。
ファーストコレクションである「ヒザシ」は、家具用途として避けられがちな節目を含む、多様な杢目を斜めに並べた鏡板を特徴とする箱物家具シリーズ。降り注ぐ陽射しをイメージした意匠が印象的だ。
制作は京都府京丹後市に工房を構える、「株式会社溝川」がおこなっている。もともとオーダーメイドを得意としているため、オプションで仕上げ方や扉・ひきだしの数を選べたり、古家具の一部を受け継いで作ってもらうこともできるという。デザイナーは、京都を拠点に活躍する綾利洋氏。
シリーズは、ローボードやAVボードのほか、サイドボード、チェスト、ミニデスク、スツールという展開。ほぼすべての製品の扉はプッシュ式で、開閉する際に無意識に無垢材に触れてほしいという思いが込められている。扉やひきだしを開けた際にパッと広がる桧や杉の香りが心地よい。
仕上げ方は、桧や杉の無垢材の魅力を最も愉しめる無塗装が標準だが、木目をより立体的に浮かび上がらせる浮造り(うづくり)仕上げや植物性オイルによる塗装も可能。
さまざまなクセのある木材を、従来の国産材家具のイメージではなく、木の良さを新鮮に感じられる生活道具として世に届けたいという思いで作られている家具シリーズだ。
写真:たやまりこ
デザイナー:綾利洋
1975年東京生まれ、関西育ち。京都大学、米国Yale大学で化学修士号を取得し製薬会社で研究に従事した後、米国のデザイン事務所にてデザイナーとしてのキャリアを開始。ものごとをより良くするための様々な「おぉ」を考えるデザイン事務所「o-lab」を2011年に設立。日用品や伝統工芸とのコラボレーションから先端医療機器まで、分野を横断してデザイン、ブランディング、ディレクションなどに携わっている。