辰巳アパートメントハウス

2016

幹線道路と地下鉄に隣接し、高速道路にも近接した都心の商業地における集合住宅の計画です。狭小地のため、容積を確保するには、塔状比の高い計画となりますが、この場所の騒音と振動を考えると、鉄骨造を採用することが必ずしも良いとは思えず、より質量のあるRC造を採用しました。

小さな空間の中で、存在感のあるコンクリートの柱や梁の間を断面的にも平面的にもくぼみ(ニッチ)として捉えることで、身を寄せられる居場所を作ることができると考えています。

地震時の引き抜き力を抑えるため、上層階の部材断面は下層階の3分の1ほどとなっており、下階においては、洞窟のような深いくぼみと物量が地上との物理的な近さを補って周囲から守られた室内をつくり、上階では、明るく開放的な架構空間がまちの上空の開けた風景と向き合います。

伊藤博之建築設計事務所(建築設計事務所)

伊藤博之建築設計事務所(建築設計事務所)

伊藤博之
1970年埼玉県生まれ。1993年東京大学工学部建築学科卒業、1995年同大学院修士課程修了。1995〜1998年日建設計を経て、1998年O.F.D.A.共同設立。1999年伊藤博之建築設計事務所設立。2019年より工学院大学教授。

上原絢子
1983年愛知県生まれ。2006年名古屋市立大学芸術工学部卒業、2008年東京工業大学大学院修士課程修了。2008〜2013年木島千嘉建築設計事務所+O.F.D.A.を経て、2013年〜伊藤博之建築設計事務所。

おもな受賞として、「RIBA(王立英国建築家協会)Awards for International Excellence」(辰巳アパートメントハウス、2018)、「日本建築学会作品選奨」(辰巳アパートメントハウス、2019年)、「グッドデザイン賞BEST100」(PRISM Inn Ogu、2022年)など。

http://ito-a.jp/

2024/2/14 14:00