第293回 小大建築設計事務所 (建築家)

[桐山登士樹の推薦文]

数カ月前、建築家の小嶋伸也さんと小嶋綾香さんが率いる小大建築設計事務所が設計した、狭小な敷地に建つ建築に目が留まった。場所は銀座線三越前駅が最寄り、わずか14室の「Hotel Rakuragu」。空間のゆとりを生み出すために内外に攻めた(工夫した)建築に映った。

お二人は隈研吾建築都市設計事務所を経て、2015年に事務所を設立している。公式サイトでほかのプロジェクトも拝見したが、開口部のデザイン、適材適所で選び抜かれた素材に特徴があり、快適な空間を創出している。すでに安定した力を感じさせる、今後がますます楽しみな建築設計事務所だ。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹

デザインディレクター

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

小大建築設計事務所(建築家)

小大建築設計事務所(建築家)

建築家・小嶋伸也と小嶋綾香が率いる、東京・上海を拠点とする設計事務所。現代の情報化社会で表層的になってしまった、人間関係や薄れた地域性を再生すべく、小さなローカルなものでも集う場所を作り、持続的で大きく確かな経済性を生み出すような設計を心がける。

また、大量生産の末、均一化されてしまった素材に意を唱え、地域の風土や文化的背景を継承できる素材を取り入れることで、職人技術や地域の美しさを継承していくことを目指す。「日本の心地良い美がある暮らし」をテーマにしたリノベーションブランド「一畳十間」の運営をおこなう。

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