第281回 横田哲郎 (家具デザイナー)

[桐山登士樹の推薦文]

家具デザイナーの横田哲郎さんは、椅子に魅せられ、椅子に恋し、椅子と真正面から対峙し続けるデザイナー。ここまで濃密で、高い熱を発し続けるデザイナーは近年思いつかない。しかし無視はできない、なぜなら発するメッセージがデザイン解説ではなく、哲学だからだ。

その一例が以下だ。

「自分のやっていることを長い目でみてほしい。目の前の利益、目の前の満足、目の前の評価にすがってはならない。そんなものは泡のように消えて、すぐに失うものだからだ。しかし、あなたがはじめたやりたいことを続けたならば、それがもたらすものは永久にあなたの力となる――」

同質化現象が続き、均一化していく時代の中で突出した方がいても良いと思う。もっと多くの人がそうであれば、また新たな熱量が湧いてくる。次回の展覧会、展示会を楽しみに待つことにしよう。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹(デザインディレクター)

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

横田哲郎(家具デザイナー)

横田哲郎(家具デザイナー)

1969年、東京都生まれ。東京藝術大学デザイン科を卒業。卒業後はアーティストとして活動し、26歳の時に家具の道を志す。上松技術専門校木工科を卒業。木工家の谷進一郎先生のもとに弟子入りし、徒弟制度のもと木工家具職人としての修業を積む。その後、建築設計事務所、大手家具メーカーなどで各種デザイン、設計の修業を積む。36歳の時に家具デザイナーとして独立。2021年、51歳の時に「横田椅子デザイン設計事務所」を開業。

「座るという行為をデザインし
椅子で世界を変えていく
日々の暮らしに喜びと幸せを
誰もが感じられる世界に」
これが私たちの理念です。

https://www.instagram.com/yokota.chair.design/