KOVA

2020

日本では古くから花を器に入れて飾ることを“いける”という。この“いける”には生けると活けるがあるそうだ。花を生かしながら、活かすということだろうか。しかし、“いける”には生かすと活かす以外にも、そこには心を整えるような、凛とした精神的な感覚も含まれている。雑念を振り払い花と向き合う“いける”という行為はとても清々しく心地よい。そして、この“いける”という行為はたとえ花が枯れていても行うことができる。

素材はソフトウッドをハードウッドに変化する技術を利用したKEBONYという材を使用し、その中に乾燥させた杉の葉を敷き詰めドライフラワーが刺さるようにした。実際に刺してみるとザクっといい感触が手に伝わり、本当に剣山に刺しているような感覚になる。

花器から花まですべてが枯れている。枯れていてもまだなおいきている花の美しさを見出すのは人の心だと思う。

Photo:Tomomi Takano

石井聖己(プロダクトデザイナー)

石井聖己(プロダクトデザイナー)

SEIKI DESIGN STUDIO代表。京都を拠点に活動しており、国内外のクライアントと協働し、戦略開発からアウトプットまで一貫したデザイン活動を行う。iF DESIGN AWARD、Good Design Award GOOD DESIGN BEST 100、ほぼ日作品大賞 銀賞、James Dyson Award 国内最優秀賞、MUJI AWARD 04 入選、その他受賞多数(photo:Tomomi Takano)

https://www.ishiiseiki.com/

2021/11/10 15:45