日本の工芸-自然を愛でる-

板谷波山《氷華彩磁唐花文花瓶》1929年頃 個人蔵 板谷波山《氷華彩磁唐花文花瓶》1929年頃 個人蔵

日本では、自然の移ろいゆく情景や風光の美しさに育まれた特有の自然観をうかがわせる多様な工芸が、暮らしを彩り、日々の生活環境を装っている。無釉や単色の陶磁と色絵、染めと織り、漆塗りと蒔絵、金属の鋳込みと彫金、また天然の特質を活かす木竹など、素材を駆使して優れたわざを開発してきた。そうすることで自然にある美を感じとり、かたちとして描写している。いうなら日本の工芸は、自然を愛でることを主要な表題とし、時代に即した固有の表現芸術として発展してきた。厳しくも豊かな自然のなかで生きる私たちの生命観を反映したものでもあり、その文化は美しい日本の伝統を表している。

板谷波山(陶)、森口華弘(染)、赤塚自得と髙橋節郎、室瀬和美(漆)、海野清(彫金)は、自然の事象を自らの表現で描いた。十二代三輪休雪や杉浦康益(陶)、藤田喬平(ガラス)、増村紀一郎(漆)は、自然の形象の内に自らの創意を表した。鈴木治と宮永東山(陶)、古伏脇司(漆)、田辺陽太(竹)は、自然の事象から感受した心情をオブジェとし、そして角偉三郎(漆)、氷見晃堂と須田賢司(木)、藤沼昇(竹)は素材そのものの美と詩情とを結びつけて造形を追及している。

本展では、東京国立近代美術館工芸館が所蔵する近・現代の名品を主とした約120点を陳列して、自然を愛でる日本人の心が生み出した工芸の美が紹介される。

【関連イベント】
●アーティストトーク
杉浦康益(陶芸家)
日時:12月17日(日) 14:00~15:00
場所:工芸館会場
※申込み不要、参加無料(要観覧券)

●ギャラリートーク
諸山正則(工芸課特任研究員)
日時:2018年1月7日(日) 14:00~15:00
場所:工芸館会場
※申込み不要、参加無料(要観覧券)

●タッチ&トーク
日時:会期中の毎週水・土曜日(2018年1/3は除く) 各日14:00~15:00
場所:工芸館会場
※申込み不要、参加無料(要観覧券)

開催期間 2017/12/01(金)~2018/02/18(日)
※イベント会期は終了しました
時間 10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)
休館日 月曜日(ただし、2018/1/8、2/12は開館)、12/28~2018/1/1、1/9、2/13
入場料 一般250円/大学生130円
参加アーティスト 板谷波山、森口華弘、赤塚自得、髙橋節郎、三輪休雪、藤田喬平、鈴木治、宮永東山、古伏脇司、角偉三郎 他
会場
  • 東京国立近代美術館 工芸館
  • 東京都千代田区北の丸公園1-1
お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
会場URL http://www.momat.go.jp/cg/
詳細URL http://www.momat.go.jp/cg/exhibition/shizen_2017/