態度が形になるとき-安齊重男による日本の70年代美術-

安齊重男《グループ361° 1973年7月 井の頭公園、東京》 1973年 国立国際美術館蔵 © ANZAÏ 安齊重男《グループ361° 1973年7月 井の頭公園、東京》 1973年 国立国際美術館蔵 © ANZAÏ

1970年1月、安齊重男は同世代の作家たちが生み出す一過性の作品を、35mmカメラで本格的に記録を取り始めた。画廊に木材、鉄板、綿、砂、パラフィン、粘土など、さまざまな材料を持ち込み、それらの材料をある状態に設置して作品化する一過性の表現は、展示が終了すると当然の如く消えて無に帰した。安齊は交友関係のあった、李禹煥、関根伸夫、吉田克朗など、後に「もの派」と呼ばれた作家たちの作品ばかりでなく、自らの嗅覚を信じて、そのような消えて無くなっていくタイプの作品を中心に撮影を始めた。

安齊が撮影を本格化したのは、1970年5月から東京都美術館で開催された「第10回 日本国際美術展」いわゆる「東京ビエンナーレʻ70」の準備に参画し、参加アーティストたちの助手のような役割を担いながら、記録写真を撮り始めた頃からだ。コミッショナーを新進美術評論家であった中原佑介が務め、ルチアーノ・ファブロ、ヤニス・クネリス、ソル・ルウィットなどの外国作家に加え、狗巻賢二、榎倉康二、小清水漸などの国内作家を合わせ、総勢40名にも及んだ国際展だ。

東京ビエンナーレを構成するに際し、中原が参照したと思われる展覧会に、後に多くの国際展を手掛けたハラルド・ゼーマンの企画によってスイス・ベルンで1969年に開催された「態度が形になるとき 作品 – 概念 – 過程 – 状況 – 情報」がある。本展にも用いたその展覧会のタイトルは、後に70年代の現代美術を体現する鮮烈な用語となった。

本展は、70年代の日本の現代美術を撮り続けた安齊重男の行為を再検証する試みである。安齊の写真を丁寧に辿ることによって、戦後日本美術の変革期を再確認することになるだろう。さらに、国立国際美術館のコレクションを中心に安齊が目撃した作家たちの作品を展示し、安齊のその行為を作品の側からも検証するものだ。

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開催期間 2017/10/28(土)~2017/12/24(日)
※イベント会期は終了しました
時間 10:00~17:00(金・土は20:00まで/いずれも入場は閉館30分前まで)
休館日 月曜日
入場料 一般430円/大学生130円/高校生以下・18歳未満・65歳以上無料
参加アーティスト 安齊重男
会場
  • 国立国際美術館
  • 地下2F 展示室
  • 大阪府大阪市北区中之島4-2-55
会場電話番号 06-6447-4680
会場URL http://www.nmao.go.jp/
詳細URL http://www.nmao.go.jp/exhibition/2017/anzai.html