編集部の「そういえば、」2022年5月

編集部の「そういえば、」2022年5月

ニュースのネタを探したり、取材に向けた打ち合わせ、企画会議など、編集部では日々いろいろな話をしていますが、なんてことない雑談やこれといって落としどころのない話というのが案外盛り上がるし、あとあとなにかの役に立ったりするんじゃないかなあと思うんです。

どうしても言いたいわけではなく、特別伝えたいわけでもない。そんな、余談以上コンテンツ未満な読み物としてお届けする、JDN編集部の「そういえば、」。デザインに関係ある話、あんまりない話、ひっくるめてどうぞ。

パッケージの価値を探る企画展

そういえば、5月29日までGOOD DESIGN Marunouchiにて開催していた企画展『パッケージング・インクルージョン vol.1「つながる」』に、駆け込みでうかがってきました。

展覧会ビジュアル

会場の様子

「パッケージング・インクルージョン」は、これからの社会に求められるパッケージの価値について、考え、共創する機会を広く社会に提示することを目的にしたプロジェクト。同プロジェクトは、パッケージングソリューションカンパニーの株式会社フジシールインターナショナルと、薄膜フィルムメーカーのクルツジャパン株式会社の2社が中心となってスタートしました。

2社の歴史や事業、技術を紹介しているブース。(左)クルツジャパン株式会社(右)株式会社フジシールインターナショナル。

第1弾となる今回は「つながる」をテーマに、2社がグラフィックデザイナーと共に、新しいパッケージや素材の提案を行いました。参加したグラフィックデザイナーは、石田清志さん、小玉文さん、佐々木智也さん、真野元成さんの4名。

CAL.AND/石田清志さん

石田清志さんは、人の行為と時間軸が「つながる」12面体カレンダーの提案をおこないました。正十二面体という幾何学正多面体を利用したもので、月日と星座を立体の中に包括することで「パッケージを開ける楽しさ」を構造的に組み込んでいます。

CAL.AND

link-can/小玉文さん

小玉文さんは、日常と非日常を“つなげる”保存食の缶詰の提案を行いました。一般的に見えない場所にしまわれている保存食の缶詰が日常でも集めたくなるようなパッケージデザインになっており、さらに緊急時に役立つものとして、積み重ねると小さいスツールやテーブルとして使えるようになっています。

link-can

CROSS CHOCOLATE/真野元成さん

真野元成さんは、デジタルとフィジカルをつなげるエアクッションのパッケージを提案。自分の感情や贈る相手によってカスタマイズ可能なチョコレート&エアクッションパッケージだそうで、少し未来の購入体験を予感させる提案となっていました。

CROSS CHOCOLATE

Bottling Pouch/佐々木智也さん

作り手と消費者をつなげ、食卓を彩るパウチボトルの提案を行ったのは、佐々木智也さん。パウチの持ち前の優れた輸送コストや環境負荷の軽さに、人目に置きたくなるようなデザイン性やトレーサビリティ機能を付けることでパッケージの進化を試みたそうです。

Bottling Pouch

今回4名のグラフィックデザイナーのみなさんの提案を拝見し、ただの包装材にとどまらず、パッケージの概念を変えてしまうような新しい提案をさらに見てみたいなと感じました。企画第1弾ということなので、今後続く展示も楽しみにしています!

(石田 織座)