「mitosaya　薬草園蒸留所」のクラウドファンディングのリターン

これは、元ユトレヒトの江口宏志さんがはじめた、薬草園だった場所を改修した日本初のボタニカルブランデー蒸留所「mitosaya　薬草園蒸留所」のクラウドファンディングのリターンです。「大多喜町の養老渓谷の石と「mitosayaで摘んだ葉っぱ」と「大多喜町の竹籠屋さんの工場に30年放置されてた竹ひご」で構成されたオブジェです。

デザイナーの熊谷彰博くんが江口さんに依頼されて、その素材をつかってデザインしたみたいです。まったく機能がないんですが、mitosayaという場所のストーリーが伝わるし、おしゃれだし、ちょっと神々しさもあるっていう。本当はクラウドファンディングのリターンですけど、僕はこの前イベントで売っていたものを買いました。ちなみに値段は8千円。高いんだか安いんだかわからないですよね（笑）。コンポジションしかないというか、デザインしかない感じがいいなーと思って買っちゃいました。

このオブジェはほとんど接合部のディティールがなくて、構成しているのは竹ひごと紐だけなんだけど、モノの置き方ひとつで見え方が変わってくるんですよね。そのものについて話をたくさんできる余白があるっていいなと思います。

SHOKKIの作品集

渋谷の「YEANAY（イエナイ）」っていうショップで買った、富山のカトラリーブランド「SHOKKI」の作品集です。ブックカバーがひとつひとつ手びねりでつくられているんですが、「まあこんな感じでいっか」くらいのノリでつくられてるように見える。ゆるすぎるなーと思って買っちゃいました（笑）。作品集というフォーマットに、このアイデアを持ってくるのがいいですよね。

磯谷博史さんの作品「Bananas and Postcards」

「青山｜目黒」で購入した磯谷博史くんの作品です。バナナをポストカードが真っ二つに切ろうとしている写真なんですけど、そのポストカードにはすでに切られたバナナが写っているというものです。合わせ鏡みたいな状態で、その時間軸がこんがらがっている「Lag」というシリーズに関連したものです。これはよくわからないので、考えたいなと思って買いました。

これがちょっとずるいなあと思ったのは、バナナを切っている写真が実は展示会のDMなんです。展示会に行ったら、そのDM自体が作品として売ってるんですよ。「えー捨てちゃったよ……！」っていう（笑）。タダでもらえるDMと数万円で売っている作品の間にある違いは「考え方」「コンセプト」です。つまり「コンセプトだけを売っている」とも言える。こうした考え方にちょっと笑ってしまったので、これは買うしかないかなって。

「買い物」について

基本的に買い物は全部「資料」として見てるフシがあって、買うには買うんですけど、家用の椅子とかも測って満足しちゃうんです。「よし、把握した！」って（笑）。たとえば、靴とかも買ったら一度靴ひもをぜんぶ解いて、構造を確認します。測ったり構造を知るのは、現物がないとできないので、知るために買っているのかな。本とかも「考え方」を理解したくて買っている気がしますけど、明らかにコレクター気質ではないんです。

「考え方」を突き詰めるのが好きなんですよね。動物とか生存戦略のコンセプトちがいのものみたいなものがいっぱいあるじゃないですか。海の底でじっとしていているナマコとかナマケモノは、エネルギー消費をなるべく少ないような生活や体のデザインをしているとか。ひとつひとつ戦略を練って、形づくっているという「考え方」そのものに興味がありますね。

タイトルデザイン：岡村優太