【さいきん、なに買った?】飯尾あすかさんが買った、日本にはないテイストの花瓶

【さいきん、なに買った?】飯尾あすかさんが買った、日本にはないテイストの花瓶

こんなにモノが溢れる時代に、それでも私たちが「モノを買う」のはなぜだろう?物欲…?はたまた必要に駆られて…?「買う」という行為から、その人らしさや考え方が見えてくるような気がします。

本企画はいわゆる「私の定番アイテム」紹介ではありません。さまざまな職種の方に「さいきん、買ったもの」をうかがい、改めて「買う」ことについて考える…そんな大げさな話ではなく、審美眼のある方々に「買う」にまつわるお話をうかがう、ちょっと軽めの読み物です。

今回は、雑誌のイラストやロゴのデザイン、ウィンドウペイントなど国内外で幅広く活動する、イラストレーターの飯尾あすかさんです。直近では、JDNの「見たい、知りたい!今月のイベント」の新しいタイトル画像を描いていただきました。昨年までロンドンに滞在し、制作をおこなっていたという飯尾さんが買ってよかったものとは?

日本では見かけないテイストの花瓶

この花瓶は、ロンドンに住んでいた時に、パリに行って買った花瓶です。フランス南西部の田舎町にある陶芸工房「PORCELAINE DU LOT VIREBENT」のオリジナル商品で、日本ではなかなか手に入りづらく、欲しくてずーっと追い回し続けていました。

PORCELAINE DU LOT VIREBENT「CURIOSITY COLLECTION」

PORCELAINE DU LOT VIREBENT「CURIOSITY COLLECTION」

5年くらい前にどこかのサイトでこの花瓶を見て、あまりにも欲しくて工房に直接メールを送ったんですけど返事が来なくて(苦笑)。3年前にイギリスに移り住むことになり、花瓶を売っているパリのお店に行ったんですが、ちょうど夏のバカンスの時期でお店が閉まっていて……。

その後はチャンスがないまま、日本への帰国が決まった時に、今度は事前にお店に営業日を確認してから買いに行きました。やっと買えた時は、お店の人にずっと欲しかったんだという話を語ってしまいました(笑)。

花瓶に書いてあるのはギリシャ文字で、この2つは「イータ」と「デルタ」です。ほかも似たようなテイストで「アルファ」から順に「イプシロン」とか「オメガ」などの名前がついていますね。

花瓶の形にあわせて描かれたイラストが標本のように見えて面白いことと、日本では見ない、版画っぽいイラストの感じが気に入っています。もちろん日本のイラストも素敵なものが多いんですが、海外に出てみると「こういうの日本にはないよな」っていうものがわりとあって、この花瓶もそのうちの一つだと思います。まだどこに置くかは未定ですが、あまり日本の家にはなじまないデザインだけど存在感があっていいなぁと。

ロンドンでの買い物について

ロンドンには2年ほど住んでいましたが、あまり買い物はせず、逆に断捨離に励んでいました。日本では不用品を処理しようと思うとブックオフなどのチェーン店に持っていくことになると思うんですが、ロンドンにはいろいろな種類のチャリティーショップが街中にあって、私は英国動物虐待防止協会が運営するチャリティーショップにいらない服を持って行っていました。お金にはなりませんが、その団体の活動資金になるので、捨てられるものは何でも持っていきましたね。

基本的に新品のものは買わないことが多くて、新品で何かを買う時はすごく大事にできそうなものだけにしています。それこそ、パリに行かないと買えないものや、ヘルシンキで欲しいと思ってて買ったマトリョーシカとか。そういうものだけ新品で買って大事にするぞと決めて、そのほかのものはチャリティーショップで買っていますね。

ただ、うちは本と植物は迷ったら買っていいという独自ルールがあって(笑)、ロンドンにいた時は植物を買ってしまうと日本に持ってこれないのでセーブしていたんですけど、代わりに本はよく買っていました。植物はもともとすごく好きで、ロンドンにいたときも植物園の近くに住んでいたので、年パスを使ってよく行っていました。

いま欲しいもの

いま欲しいものは、月並みでちょっと悔しいんですが、「ビカクシダ」という植物ですね。コウモリランという別名も持っていて、植物に詳しい人からすると「ああ、ミーハーな人が買うやつね」という感じのものです(笑)。

飯尾あすか

飯尾あすか

東京都出身のイラストレーター。 2017年よりロンドン在住、2019年10月に帰国。雑誌や商品などのイラストレーションからウィンドウペイントまで、国内外で幅広く活動。