エルメス財団による社会貢献プログラム「スキル・アカデミー」の一環として、講談社メチエより刊行された本書。
同プログラムでは自然素材に光を当て、今回は「木」をテーマに、スキル(職人技術や手わざ)の伝承、拡張、普及を目指しています。フランスですでに出版された『Savoir& Faire:Le Bois』から精選した8本の論文・聞き書きの翻訳と、美術家の内藤礼や建築家・建築史家の藤森照信、哲学者・フランス文学者の宇野邦一などによる寄稿・インタビューを合わせてエルメス財団が編纂しました。
“木の国”と称されるほど、文化や生活が木と分かちがたく結びついている日本において、木の存在そのものを、そして木と共に育まれてきたスキルをどのように考えていくべきか、多岐にわたる分野の知見を横断しながら深く読み解いていく一冊です。
菊地敦己(グラフィックデザイナー)おすすめコメント
コンピューターを使って制作をしていると、物質と形態を分けてものを考えることがしばしばあります。形の色を手軽に変えてみたり、図面で指定した立体を複数の素材で成形したりと。しかしながら、実際のところは素材と形は不可分にそこに存在しています。
そして、ものをかたちづくる技術は、単純な原則に基づきつつ、複雑な層を成すその性質に依っています。ソフトウェアに依存しがちな我々デザイナーは、もう少し素材の声に耳を傾ける必要がありそうだと、本書を制作しながら感じました。
発行 | 講談社選書メチエ |
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著者 | ユーグ・ジャケ、藤森照信、小泉武夫、内藤礼 他 |
装丁デザイン | 菊地敦己 |
編集 | エルメス財団 |
仕様 | 四六版変型、上製、函入、392ページ |
価格(税込) | 2,750円 |
ISBN | 978-4-06-523705-2 |