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悲劇的なデザイン

あなたのデザインが誰かを傷つけたかもしれないと考えたことはありますか?

悲劇的なデザイン

いま、デザインは社会において大きなインパクトをもった。そして明らかになってきたのは、デザインには物事を革新する良い力だけでなく、人を「殺し(第1章/第2章)」、「怒らせ(第3章)」、「悲しませ(第4章)」、「疎外感を与える(第5章)」力がある。

命を奪いかねないインターフェイス、怒りをあおる失礼なテクノロジー、思いがけず悲しみを呼ぶ仕様、多様性や公正さの欠如により人を排除するプロダクト…。デザインは人を傷つけることがある。物理的に、あるいは精神的に。ところがデザイナーは、自分たちが振るう力や、その仕事に責任がともなうことに無自覚な場合が多い。

この本のねらいは、採用したデザインの影響も考えずに、仕事が終わったと思い込むデザイナーの数をゼロにすることにある。実社会でプロジェクトに失敗したらどんな事態になるのかという視点を与え、ユーザーを守るために応用できるツールやテクニックを伝え、難しい状況でも公正な決断を下せるようにする。

デザイナーはテクノロジーの門番だ。悲劇的なデザインをこの世からなくせるかは、私たちの手にかかっている。優れたデザインのある世界を実現できるかは、すべてあなたの一歩から始まる。

石井早耶香(ビー・エヌ・エヌ新社)おすすめコメント

この本では、実際に起こったデザインによる悲劇と悪影響、そしてそれを防げたはずの方法を探り紹介しています。とても耳の痛い話ですが、おもしろい。なぜこんな当たり前で、この上なく真っ当なことを、私たちは前提としておらず、新しい気付きとして受け止めるのか。


もちろん国や業界、過ごした環境、年代によって、問題意識と葛藤には差があるでしょう。私はデザイナーではありませんが、十数年前、美術大学でUI、UXの走りの授業を受けていました。そして、私より後にデザインを学び、デザイナーになった著者らが訴える圧倒的な危機感に触れて、動揺しました。だからこそ、あえて強いメッセージをタイトルや帯に込めています。手に取るのが少し怖いと思うかもしれません。でも、みんなで読めば怖くない。この本を手に取るあなたのことを信じる、あなたと変わらないデザイナーによって書かれた、本当に勇気の出る本です。


発行 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社
著者 ジョナサン・シャリアート、シンシア・サヴァール・ソシエ
高崎拓哉
デザイン 中山正成(APRIL FOOL Inc.)
仕様 A5判、240ページ
価格 2,600円(税抜)
ISBN 978-4-8025-1078-3