2019年12月1日にリニューアルオープンした、東京・御茶ノ水にある「山の上ホテル」。リニューアルオープンに合わせて、ホテルで購入できるオリジナルスイーツのパッケージも新しくなりました。
「文化人のホテル」として広く知られている同ホテルのリニューアルデザインを担当したのは、佐藤オオキさん率いるデザインオフィス・nendo。落ち着きのある色合いで、ステーショナリーを思わせるパッケージ類のコンセプトや特徴についてお伺いしました。
■プロジェクトの背景・課題
「山の上ホテル」は、昭和28年に米軍より返還された宿舎を改修し、その翌年に開業したホテルです。客室わずか35室だからこそできる手づくりの独自のサービスで、今なお多くの人に親しまれています。
特に川端康成や三島由紀夫など著名な文豪にも宿泊や執筆の場として使われたことから、「文化人のホテル」としても広く知られています。この、山の上ホテルのリニューアルに合わせて、オリジナルスイーツのパッケージも一新されることになり、従来は商品ごとに仕様がバラバラであったところを「書斎」というモチーフで緩やかに束ねました。
■コンセプト
「書斎」というモチーフとともに、すべてのアイテムがブラウンとクリーム色を用いた落ち着きのあるトーンにまとめることで、山の上ホテルの世界観と調和しつつ、それを愛した文豪たちへのオマージュとなることを意識したデザインとなりました。
■商品の特徴
フィナンシェやマドレーヌといった焼き菓子類は「文庫本」サイズのボックスとし、「ブックカバー」からわずかに顔を覗かせているようなデザインに。「帯」にはそれぞれ異なる色と番号を添えることで、本棚に陳列した際に背を見れば中身がわかるようになっています。

焼き菓子類のパッケージ
チョコレートは「色鉛筆のスチール製ケース」をそのまま使用したり、「インク瓶」をイメージした容器に入れました。また、クッキーなどの詰め合わせ用の箱は、書類を入れる「ファイルボックス」として使えるように、インデックス用の窓を付けました。

色鉛筆のスチール製ケースをそのまま使用したチョコレートのパッケージ

インク瓶をイメージしたチョコレート容器

ファイルボックスとしても使用できる詰め合わせ用ボックス

インデックス用の窓が付いています
さらに、ケーキなどの生菓子などに使われる包装紙には「原稿用紙」の柄をあしらい、紙袋には「封筒用の玉紐」をつけたデザインにしました。

原稿用紙の柄があしらわれた包装紙

封筒用の玉紐がついた紙袋
- スタッフ
デザイン/nendo
写真/吉田明広