色合いや光、素材のいい意味での無機質さからか、“近未来”をそこはかとなく感じさせる「WARP STUDIO」。このスペースは2019年8月に開設された、三井不動産の新規事業を軸に人々が集まるコミュニケーションオフィスです。
設計を手がけた、株式会社I INに、WARP STUDIOを設計する上で特にこだわった点や素材の活かし方などについてお話を聞きました。
■背景
テクノロジーの進展によって不動産の価値観は大きく変化しています。三井不動産がこれまでとは違った側面から不動産ビジネスを展開していくために、テクノロジーの知見を持った外部パートナーやベンチャー企業と協業したプロジェクトチームが一緒に働くことのできるスペースをつくることとなりました。
よりクリエイティブに、新しい発想を刺激し、人と人の立場の違いによって生じる隔たりをなくすことで、まるで友人同士がフラットに会話をするような感覚で過ごすことのできる空間づくりが目的でした。
■コンセプト
コンセプトになったのは、「未来を感じる新しさと住宅で過ごすようなリラックス感の両立」です。新しいけれど、変わることのない恒久的な魅力を空間に持たせるという一見相反する要素が共存している空間をデザインしました。
光・造形・素材、そして人々の過ごし方を改めて構築することで、新しい未来観を示しつつも、随所に心地良い居場所を持つオフィス空間を目指しました。
■手法、特徴
自然光が溢れる空間の中、オフィス中央に流れる高解像度・高出力の映像は空間に光の彩りを与える存在となります。実物と映像の境界を曖昧にすることで、未来観を象徴するものとなるようにしました。
また、人が本当にリラックスをして過ごせるオフィスづくりのため、住居での空間のあり方をヒントに、リビングやダイニングのようなインキュベーションスペースを設けました。そうすることで、日常生活に寄り添うテクノロジーのあり方を新しさの表現の切り口にできるのではないかと考えました。
陰影が柔らかな左官の曲壁面に囲われた会議室には、シンボルカラーのグラデーションを用いたガラスを通し、ほのかに色のついた光が室内に流れます。光や音、手触りといった五感で感じられる要素をオープンスペースとは対照的にすることで、静的な空間となるようにしました。
所在地 | 東京都千代田区丸の内1-9-2グラントウキョウサウスタワー9F |
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設計 | I IN |
施工 | 三井デザインテック |
プロジェクトマネージメント | コスモスモア |
敷地面積 | 295m2 |
竣工日(開業日) | 2019年8月1日 |
撮影 | 見学友宙 |