ときすし天神橋

錆止めの赤から和の(赤)朱色へ、イメージをコントロールする“意識のデザイン”

デザインコンセプト
担当:池田励一/株式会社REIICHI IKEDA DESIGN

「ときすし」は大阪の裏なんばを本店として展開する、カジュアルな寿司店です。

今回ローケーションとなったのは、天神橋筋商店街からほど近い場所に位置する、古い三階建ての小さな細長いビルでした。以前にも飲食店舗が入っていたそうで、間口が狭く奥に続く区画から、どういった空間があったのか、そこには何か名残を感じる空気がありました。

屋内に入ると露骨なスケルトンに、錆止めの赤いペイントが塗られた梁や柱天井のデッキプレートが目に入ります。単なる機能としか認識できないものが、色自体に変化を加えずとも、“寿司” という用途を取得することで、錆止めの赤から、和の(赤)朱色へともう一つの顔へと変化を遂げることに気づきました。先入観と固定概念をうまく利用し、イメージのみをコントロールすることで、既存機能に形ないしつらえが担保されました。つまり 、“意識のデザイン”ということになります。

単にインテリア装飾として新しく造形をほどこしたり、既存要素を隠して綺麗に見せる整理整頓など、素直にイメージをひっくり返す手法ではなく、建築状況や用途趣旨を受け入れながらも、いまそこにある空間の力そのものがどのように変化を遂げていくべきなのか、新たなものをつくる力だけでは成立しない手法を深く考える機会となりました。ここに来るお客さまに、どんな意識の変化が生まれるのかが楽しみです。

用途 寿司
所在地 大阪府大阪市北区天神橋7-2-13
土地面積 89.02m2
開業日 2016年12月3日
クライアント 株式会社鮓え季
施工 株式会社嵩倉建設
照明設計 株式会社モデュレックス
撮影 増田好郎