大阪の景色を大きく区分けするように流れる淀川から少し北に位置するこの場所は、南向きと西向き、ふたつの方角に対して窓がかまえられ、外と中の相互の情報がオープンとなるものでした。オーナーは「その窓に向かってカッティングチェアを設けることになるのかなぁ」と、ある程度の想像をすでに持っており、弊社も同じく共感を持てたのでその想像だけを一旦預かりました。

カッティングエリアをエクステリアとして扱う感覚で窓側に置き、その他の機能を中心部に集約。一つのフェーズとして捉えながらも、外の情報と外光を空間の真ん中に集めるような感覚でプランニングを進めました。そして、中心にプロットするボリュームはフラットな面ではなく、曲面を帯びさせ、やさしく受け止められるようなものにしました。

アーティストの植田志保氏を招き、その曲がりくねった壁に単に着色するというものでなく、外からの送り込まれる光自体に筆を入れるように、光に彩色してもらいました。植田氏の想い描く「いろ」が、曲がりくねった壁の動きに従いながらも“光が色を帯びていく”新しい一つの風景をつくってくれたような気がします。