NEW LIGHT POTTERY

照明の灯りが引き立つ、築50年の住宅をコンバージョンさせたオフィス兼ショールーム

デザインコンセプト
担当:ninkipen!

平城京を臨む田園風景の中に建つ築50年の住宅をコンバージョンした、照明ブランド『NEW LIGHT POTTERY』のオフィス兼ショールームである。

半世紀にわたり静かに居続けた瓦葺の屋根と漆喰、リシン掻き落とし(モルタル外壁の仕上げ方法の1つ)の外観には極力手を加えず、耐震補強を施して必要な内部空間と開口部を確保した。唯一タヌキの尾のように増築したトイレは、テラスとアプローチの2つの領域を分ける役割を担っている。

円柱のような部分が、新たに増築されたトイレ

円柱のような部分が、新たに増築されたトイレ

1階ギャラリーは梁をすべて取り去るかわりに、鉢巻状に下野の天井懐で水平筋交いを確保することで吹き抜けを獲得し、ペンダント照明を自由な高さでシュミレーションできる昇降装置を浮かべた。打ち合わせスペースを兼ねたこの場所からは、1年を通して変化する稲作の風景を楽しむことができ、通りに対して控えめに設けたショーウィンドウは訪れる人を暖かく迎え入れる。

1階ギャラリーのペンダント照明

ショーウィンドウ

2階ギャラリーは深い黒緑色で壁と天井を塗装し、開口部にも障子を新設し光を抑えることで、明るく開放的な1階と対照的な空間とした。場所を選ばずどこにでも照明を置けるように、天井には自由に位置を変えることができる真鍮製のバトンを浮かべ、床にはフローリングのピッチに合わせて等間隔にアルミチャンネルを敷いたEPS(電気配線)とした。

真鍮製のバトンが黒緑色の壁や天井に効果的に映える

オフィスを横断するように2階へと続く階段の大きな側桁は、梁と土台を繋ぎブレース(補強材)の役割を果たしている。穏やかな照明の灯りによって再生されたこの場所は、新たな歴史へと繋がっていく。

所在地 奈良県奈良市二条大路南5-1-40
床面積 1F:130.49m2、2F:60.65m2
構造 木造
設計 今津康夫、原健太朗/ninkipen!
ライティングデザイン NEW LIGHT POTTERY
ファブリックデザイン 山本紀代彦/fabricscape
和紙 ハタノワタル
ランドスケープ 清野陽介/planta
開業日 2018年10月8日
撮影 河田弘樹