双葉保育園

成長と共に、モノゴトの見え方・感覚が変化する空間

あそび環境づくりのトータルソリューションカンパニー・株式会社ジャクエツと、建築やインテリア、プロダクトデザインまで一貫して手がける設計事務所・2id Architectsがタッグを組んで設計を手がけた、千葉県我孫子市の「双葉保育園」。

豊かな感性を持つ子どもたちの思い出に残る空間づくりについて、2id Architectsの岡田宰さんにコメントをいただきました。

■背景

老朽化にともない建て替えることになった、千葉県我孫子市にある双葉保育園の新園舎のデザインです。保育の理念をもとに、「地域に愛され記憶に残る保育園」を目指して設計が進められました。ジャクエツさんは建築設計、2id Architectsは内装設計を行いました。

■コンセプト

幼児たちは大人が想像する以上に感性豊かで、日々多くのことを学び、感じ取っています。保育園は感性を育む大切な時期に日々を過ごす空間です。

今回の計画では「成長に合わせて思い出に変化を与える保育園」をコンセプトに、視点によってモノゴトの見え方・感覚が変化することを直感的に学べる空間を提案しました。

■特徴

幼児たちが行き来する廊下の壁面にあるたくさんの穴から見えるのは、青・黄色・黄緑・緑の4色。見る方向や高さによって色が重な合ったりさまざまな表情があらわれ、記憶に残るような強い印象を与えます。

背が小さい頃に見上げた時の穴の印象と、少し成長して見下ろした時の印象など、その時々によって見え方が変わり、日々過ごす空間が成長と共に変化します。

双葉保育園 壁面
双葉保育園 壁面

下から見た様子

双葉保育園 壁面

上から見た様子

空間全体には、自然素材をふんだんに使用しています。保育室の壁は園児の年齢ごとに身体スケールに合わせて色や目地の幅を変え、無意識のうちに成⻑を実感できる空間としました。

双葉保育園 園内

双葉保育園 保育室

保育室

また、空間デザインに合わせたサイン計画/グラフィックも担当しました。双葉の形をした室名サインは、壁面プレートと羽出しプレートに分けることで、進行方向からの視認性、壁面正面からの視認性の両方を確保しました。

また、プレートのグラフィックには、子どもが直感的に理解できるように年児ごとにサイズを変えた鳥のピクトグラムと平仮名を併記しています。

双葉保育園 サイン計画

「僕と君とではモノゴトから受ける印象が違う」。そういった空間体験を通して、世の中を多面的に捉えることの大切さ、多様性を受け入れる豊かな感受性を養ってもらいたいと思います。

所在地 千葉県我孫子市
建築設計 ⻘柳⼤祐/ジャクエツ
内装設計 岡⽥宰、荒井隆太郎/2id Architect
施工 上村建設⼯業
構造 シェルター
敷地面積 1792.21m2
延床面積 639.98m2
竣工日 2021年5月
撮影 ⽊⽥勝久/FOTOTECA