この記事も3月以降お休みしていましたが、今月から再開します!今回は、編集部おすすめのイベントを紹介するとともに、おうちで楽しめるコンテンツを独自に公開している美術館をお伝えします。
エリック・カール 遊ぶための本
6月10日に東京・立川の新街区「GREEN SPRINGS」内にオープンした、絵とことばがテーマの美術館「PLAY!MUSEUM」。第一弾の展示「エリック・カール 遊ぶための本」は、2021年3月28日まで開催しています。
エリック・カールは、コラージュ、切り絵の手法で絵を描き、穴をあけたり、ポップアップさせたり、音を仕込むなどの立体的な絵本づくりで知られる世界的な絵本作家です。デビュー作をはじめ、約20作の代表作の原画を展示。グラフィックデザイナーから転身し、絵本づくりのほか舞台の美術やアート作品まで広い領域で活動するエリック・カールのストーリー、技法、メッセージを紹介しています。
公式サイトでは、「来て・楽しんで・帰るまで」と題した、新型コロナウイルスの感染予防対策についてのページもつくられています。イラストは企画展が開催中のtupera tuperaによるもので、来館する前の準備や入場してからの館内の過ごし方、帰るまでの一連の流れをわかりやすく紹介しているのでこちらもぜひチェックしてください!
バンクシー展 天才か反逆者か
横浜アソビルでは、「バンクシー展 天才か反逆者か」が9月27日まで開催中です。イギリスを拠点に活動し、世界で最も注目されているアーティストの一人であるバンクシー。70点以上のオリジナル作品のほか、立体オブジェクトや限定プリント、さらには政治的なメッセージやユーモアあふれる風刺など、バンクシー作品に込められた想いを映像で紹介する体験空間など、世界のアートシーンに衝撃を与えるコレクションを含め、過去最大級の規模で開催しています。
2018年からモスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、香港と、世界の5都市を巡回し、人々を熱狂させている本展。今回公開する作品の中には、「Dismaland(ディズマランド)」やブリストル美術館などで開催されたバンクシーの個展やイベント、アーティストやミュージシャンとのコラボレーションなど、ほかでは見ることができない過去の軌跡をたどる品々も多く含まれています。
センス・オブ・ワンダー もうひとつの庭へ
ヴァンジ彫刻庭園美術館では、「センス・オブ・ワンダー もうひとつの庭へ」が、8月31日まで開催しています。『沈黙の春』の著書として知られる海洋生物学者のレイチェル・カーソンは、遺作となった『センス・オブ・ワンダー』の中で、子ども時代からの自然とのかかわりにおいて、「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を持つことの大切さを説いています。
本展は、絵画、彫刻、写真、映像による作品がつくりだす、もうひとつの庭というテーマで、自然とのかかわり方や豊かな出会い方を、7名の作家たちの作品から紹介する企画展です。
丸沼芸術の森所蔵 ベン・シャーン展
新潟市美術館では、「丸沼芸術の森所蔵 ベン・シャーン展」が7月29日まで開催中です。本展は、アメリカを代表する画家の一人であるベン・シャーンについて、丸沼芸術の森が所蔵する約300点の水彩やテンペラ、インクなどによる作品の中から、約170点の作品が展示されます。
社会的事件に目を向け、人々の心に寄り添うように制作を続けたベン・シャーン。ヒューマニズムの姿勢に貫かれたシャーンが描き出す線描は、まるで怒りに震え、優しさで滲むように対象の思いを画面に響き渡らせます。会場では、シャーンを初めて日本に紹介した新潟出身の画家・写真家の阿部展也との交流について、シャーンから阿部に贈られた《ペンを持つ手》(同館新収蔵)や写真資料などから見ることができます。
坂茂建築展 仮設住宅から美術館まで
大分県立美術館では、開館5周年を記念し、同館の設計者で、プリツカー賞受賞者の坂茂さんの展覧会を7月5日まで開催中。坂さんが手がけた美術館やコンサートホールなどの数々の建築物から被災地支援の活動まで、その取り組みの全貌を紹介しています。
大分県立美術館の建物の特性をフルに活用し、坂さんが設計にあたりコンセプトの柱においた「街に開かれた縁側としての美術館」を体感いただける機会です。
おうちで楽しめるコンテンツを公開中の美術館
多くの美術館が再開していますが、長い自粛期間中に自宅で楽しめるコンテンツとして、一部の美術館が独自のコンテンツを始めて話題になりました。以下、その一部をご紹介します。
https://www.kahaku.go.jp/VR/
館内の展示が鑑賞できる3Dビュー+VR映像など、自宅で楽しめるコンテンツ「おうちで体験! かはくVR」を公開。一般財団法人VR革新機構の協力のもと、展示室全体の高画質画像を撮影して3Dビュー+VR映像を制作したという同コンテンツ。まるで同博物館の中にいるような感覚で展示鑑賞が楽します。
水戸芸術館
https://www.arttowermito.or.jp/entry/ouchi/
家庭で楽しめる音楽・演劇・美術などのコンテンツ「おうちで楽しむ水戸芸術館」を公開。これまで同館で開催されたコンサートや演劇公演、展覧会の動画の無料配信など、自宅で楽しめるコンテンツが公式サイトにアップされています。
ポーラ美術館
https://www.polamuseum.or.jp/enjoyathome/
自宅でアートを楽しめる「#おうちでポーラ美術館」を公開。特設ページでは、時間や場所にとらわれず気軽にアートが楽しめるコンテンツを約30紹介。展覧会や作品の見どころを動画で紹介する「みる」、マンガや相関図などを使って画家・作品を解説する「よむ」、ぬり絵のダウンロードや切り絵の制作プロセスが見られる「つくる」、美術館を紹介する「ポーラ美術館を知る」の4つのメニューに分けられ、幅広い年代が楽しめる内容となっています。
うらわ美術館
https://uam.urawa.saitama.jp/
日常にアートを見出すためのコンテンツを発信するWebサイト「Art into Life」を公開。同サイトは、開館20周年記念展が中止となったことをきっかけに、展覧会とは異なるかたちでアートと触れ合い、アートの可能性を再発見するための試みとして制作されました。手元で本を開いているかのような経験ができる映像や、手製本の作り方動画をYouTubeで順次配信していくほか、地元のアート関連情報、子ども向けコンテンツなども用意されています。
岡山県立美術館
https://okayama-kenbi.info/
「#おうちでミュージアム 岡山県立美術館編」と題したコンテンツを公開。常設展示室の一角に並ぶ作品をみることができるほか、岡山出身の洋画家・国吉康雄の作品に登場する牛や虎をペーパークラフトでつくる方法なども掲出しています。
各美術館ではそれぞれ新型コロナウイルス感染予防対策として、日時指定制や完全予約制でチケットを販売しているところもあるため、来場の際は各公式サイトの注意事項を読んだ上でご来館ください。withコロナの新しい生活の中で自衛をしつつ、また少しずつデザインやアートに触れていきたいですね。来月も編集部が気になるイベントをご紹介しますのでお楽しみに!
タイトルデザイン:飯尾あすか 構成:石田織座(JDN)