“敷居を越える一週間”をテーマにした「Design Week Kyoto ゐゑ(いえ)」は、京都市内のさまざまな工房やオフィスが開放されるイベントです。普段入れない「クリエイティブの現場」でクリエイターと会話したりワークショップに参加することで、あたらしい京都の一面を知ることができます。第一回目となる今回は、2016年2月21日~28日の期間で開催されました。
好きな神社がいくつもあり、京都には毎年訪れているのですが、これまで「ものづくり」という視点で京都を見たことはありませんでした。今回、「京都でデザインウィーク? しかも記念すべき第1回目」ということで、1泊2日で取材に行ってきました!
参加店舗やオフィスは約140組。今回は2月21日~22日に参加したものにしぼってレポートします。
・オープニングイベント
・NOSIGNER京都オフィス 展示&オープンオフィス
・KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
・中村ローソク
・つづれ織工房 おりこと
・修美社
修美社
日時:2016年2月21日~28日
会場:修美社(京都市中京区西ノ京右馬寮町2-7)
中京区にある修美社は、京都で創業65年になる印刷会社です。期間中はオープンファクトリーを実施。印刷現場の機械や昔から変わらず使用する道具などを見学できました。活版印刷~樹脂凸版印刷~オフセット印刷と時代とともに移行しながら、たくさんの印刷物を製造してきました。
今年、思い出が詰まった工場を解体してリニューアルすることになったそうです。解体前に、初開催の「Design Week Kyoto ゐゑ 2016」に合わせて工場の一部を公開。創業当時から現在まで培ってきた印刷技術や品質を見て、実際に触れてもらいたいという思いから参加したそうです。
修美社は、京都の印刷会社、製本会社、グラフィックデザイナーがチームとなった活動「NOTEb(ノートブ)」を立ち上げました。昨年からワークショップにも積極的に取り組み、今回も「オフセット印刷体験」や「オリジナルノート作り」を体験できるイベントも実施されました。

自分でカスタマイズできるノート。顔のパーツや眼鏡のシールが付属でついているため、世界でひとつだけのオリジナルノートを作れました!

会長、愛用の「脳トレ」になる紙ゲーム。右の縮まった紙のように、同じひらがなを4文字集めればOKというシンプルなルールですが、紙の折り方を工夫しないと揃わないのです…
「オフセット印刷体験」では、最後の色を重ねると劇的に絵の色が変化するという体験ができました。2枚並んだ写真の左は、色を重ねる前、右は一色重ねた後です。色の幅がグッと増えたのが一目でわかります。
創業者である会長の山下修吉さんや3代目の山下昌毅さんとお話することができました。活版印刷や裁断機のことなど詳しく説明していただいた、修吉さんはなんと92歳で今も現役!3代目の昌毅さんにお聞きすると、「たまにケンカもしますが、基本的に僕らの代がやろうとする新しいことについて応援してくれます。」と、話してくれました。
今回のイベントに参加して良かったことについて聞くと、「小さい子どもから大人まで、印刷について知ってもらえたことと、実際に体験してもらうと“えーっ、すげー!!”と、驚愕の雄たけびをあげてもらえたことですね(笑)」と、嬉しそうに笑っていたのが印象的でした。

(左)創業者の山下修吉さん、(右)三代目の山下昌毅さん
修美社は昨年からワークショップを開催しているそうです。時代とともに印刷技術や考え方は変わっていくと思いますが、根っこの気持ちは変わらずに受け継がれていっているのではないかと、話を聞きながら感じました。ただひとつ、時間が合わず、オリジナルノート作りだけできなかったのが残念です!
石田織座(JDN編集部)
修美社
https://syubisya.storeinfo.jp/
▼そのほかのイベント
・オープニングイベント
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・KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
・中村ローソク
・つづれ織工房 おりこと