敷居を越える一週間、「Design Week Kyoto ゐゑ 2016」出張レポート(中村ローソク)

敷居を越える一週間、「Design Week Kyoto ゐゑ 2016」出張レポート(中村ローソク)

“敷居を越える一週間”をテーマにした「Design Week Kyoto ゐゑ(いえ)」は、京都市内のさまざまな工房やオフィスが開放されるイベントです。普段入れない「クリエイティブの現場」でクリエイターと会話したりワークショップに参加することで、あたらしい京都の一面を知ることができます。第一回目となる今回は、2016年2月21日~28日の期間で開催されました。

好きな神社がいくつもあり、京都には毎年訪れているのですが、これまで「ものづくり」という視点で京都を見たことはありませんでした。今回、「京都でデザインウィーク? しかも記念すべき第1回目」ということで、1泊2日で取材に行ってきました!

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参加店舗やオフィスは約140組。とても全部は見切れませんでしたが、2月21日~22日に参加したものにしぼってレポートします。

・オープニングイベント
・NOSIGNER京都オフィス 展示&オープンオフィス
・KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
・中村ローソク
・つづれ織工房 おりこと
・修美社

中村ローソク

日時:2016年2月22日~26日
会場:有限会社 中村ローソク(京都市伏見区竹田三ッ杭町57-8)

オレンジ色の炎とほんのりとした香りが心を落ち着かせてくれる「和ろうそく」。伏見区の竹田にある中村ローソクにお伺いし、和ろうそくの製造見学をさせてもらいました。

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和ろうそくは、芯となる燈芯と、蝋(ろう)でできています。中村ローソクで使っている蝋は、米ぬか蝋とパームヤシ蝋をブレンドした、純植物性のもの。もともとはハゼの実から作る蝋が主流でしたが、近年は採取しづらくなっているそうです。

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ハゼの実。大きな行事に使うろうそくには昔からのハゼの蝋を使うことが多いとか。画面左に写っているのは、ハゼの実を蝋にして固めたもの

中村ローソクでは、和ろうそくを「型流し」という方法で作っています。燈芯を型に入れ、そこに溶かした蝋を流し込み、固まったものの形を整えていくというシンプルな方法です。

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蝋を鍋で溶かして型に流していきます。型からはみ出た蝋や使いきれなかった蝋は、また鍋で溶かして再利用できます

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桜の木で作られた木型に蝋を流し込んでいくところ

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型から外すと、蝋はじんわりと温かくしっとりしていました。まさに「生まれたて」という言葉が似合う

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固まったろうそくの形をきれいに整える作業。少し穴が開いてしまったところや、バリが出てしまったところを調整します

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今回は体験できませんでしたが、和ろうそくの絵付け体験も行っているそうです

中村ローソクは、ここ1~2年で製造体験教室を行ったり、京都駅近くに直営店を出したりしています。5代目の田川尚史さんに理由を尋ねると、「仏事に使われることが多いので、和ろうそくにスポットライトが当たることはなかなかないのですが、もっと多くの人に“本物の和ろうそく”を知ってもらいたいという思いがあります。体験してもらわないとわからないところが多いので、今回の『Design Week Kyoto ゐゑ 2016』で、さらに多くの人に製造体験をしてもらえて嬉しいです」と話してくれました。

工房の中に入ってすぐの時は、蝋特有の匂いがもわっと立ち込めて、少しきついなと思っていましたが、時間が経つにつれて鼻が匂いに慣れていました。これは、植物性の原料ならではとのこと。仏事以外で和ろうそくを見ることは減っていますが、贈り物としてはもちろん、自分用の癒しの灯りとして使うのもいいかもしれません。

石田織座(JDN編集部)

中村ローソク
http://www.kyorousoku.jp/

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