木工家具ブランド「HIDA」から、デザイナーの三澤遥さんとのコラボレーションで生まれた「HIHI(ヒヒ)」と「DADA(ダダ)」。国産材を活用した、アームチェアとシングルアームチェアです。
椅子でありながらグラフィカルな美しさを持つこれらのプロダクトは、小径木が多い飛騨地域のブナの特徴を生かし、短い部材を職人技でつなぎ合わせてつくられました。本記事では、製品が生まれた背景や特徴などを紹介します。
■背景・コンセプト
素直なヒヒ/自由なダダ
飛騨の森で育まれ、HIDAの匠の手から生まれたHIHIとDADA。似ているところもあり、似ていないところもある兄弟姉妹のような一対の椅子です。椅子は座るためのプロダクトである一方で、仲間や家族のように身近な存在でもあります。「うちにはHIHIがいる」「うちにはDADAがいる」「うちにはどっちもいる」。そんなふうに親しみが湧いてくるような椅子のありかたを考えました。

(左)HIHI アームチェア(右)DADA シングルアームチェア
■特徴
HIHIはシンメトリー(左右対称)のアームチェア、DADAはアシンメトリー(左右非対称)のシングルアームチェアです。部材の「重なり」と「ずれ」に着目し、相似と相違に焦点を当てて設計されています。材料は飛騨地域のブナ材。植林や伐採をおこなっている飛騨の森や製材所を巡り歩いて出会った木々です。
もしこの椅子を曲木でつくるなら2m以上の木材が必要になりますが、小径木が多いという飛騨の木の特性を活かし、HIHI DADAはあえて短い部材をつなぎ合わせて構成。いくつもの部材を用いることで、ひとつの椅子の中に多様な色や表情があらわれています。
骨格となる丸棒は直径34mm。連結部は人が両手の指を組んだような櫛型のフィンガージョイントで接合されています。また、角柱の木を円柱状に削ることで浮かび上がってきた輪っか状の木目も、この椅子らしさのひとつです。
部材は内と外に交差し合いながらゆるやかな曲線を描き、先端では円の断面が象徴的に顔を出しています。丸棒と丸棒のジョイント部分は、片方を直径の3分の1の深さまで削って丸溝をつくり、もう一方の丸棒をその溝に隙間なくぴたりと付けました。
飛騨の職人による「さりげなく、すごい」の集積でできた、まさにオートクチュールのような椅子です。がっちりした接合ではなく、ふんわりした接合。部材がただ接しているだけの、ある意味で未完全な状態には、ナイーブなやわらかさがあります。もちろん強度も兼ね備えており、製品は10年保証です。
ブランド:HIDA
1920年に飛騨高山で創業した飛騨産業が展開する木工家具ブランド。2020年に創業100周年を迎え、「匠の心と技をもって飛騨を木工の聖地にする」という企業ビジョンを掲げ、「人を想う」「時を継ぐ」「技を磨く」「森と歩む」の4つの価値観のもと、未来へと繋がる持続可能なものづくりを展開しています。
HIHI DADA
サイズ | アームチェア:W52×D55.5×H86.5mm、SH46mm、AH63mm/シングルアームチェア:W56.5×D53.5×H86.5mmm、SH46mm、AH63mm |
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カラー | NL色・BF色(ポリウレタン樹脂塗装)、EMG色・ECA色(カラー塗装) |
素材 | ブナ(飛騨地方) |
価格(税込) | 20万9,000円~ |