家具メーカーの老舗・飛驒産業株式会社が、建築家の隈研吾さんと開発したコラボレーションモデル「クマヒダ KUMAHIDA」。
クマヒダはアームチェアとテーブルからなる家具シリーズで、材種はウォルナットとホワイトオークの2種類。建築物に通じる柔らかい曲線が特徴のひとつです。飛驒産業株式会社 デザイン室の坂井雄大さんに、製品のコンセプトやフォルムへのこだわり、開発の背景などについてお聞きしました。
■商品が生まれた背景・コンセプト
2020年の創業100周年を迎えるにあたり、記念事業の第一弾として「新国立競技場」や「GINZA KABUKIZA」などの設計で知られる建築家の隈研吾さんとコラボレーションし、クマヒダをつくりました。
商品のコンセプトには、「飛驒産業が培ってきた技や経験を通じて、日本文化の本質を世界の人々に伝えたい」という、隈さんの想いがあります。隈さんは、「全体のシルエットとディティール、どちかかではなく、両方上手く噛み合ってはじめて、人間の心に響くモノができる。それが実現できた」と語っており、手がけた建築にもクマヒダを置くことで新たな価値を発信したいと思い描いています。
■商品の特徴(アームチェア)
チェアの背は曲木(木材を蒸したり煮沸して柔らかくし、型にはめて木を曲げる方法)を使用しており、前脚・背・肘木を構成する部材の断面は、「紡錘形」と称される両端が尖った膨らみのあるレモンのような形状になっています。この独特の形状が、厚みのある部位での適度な「柔らかさ」と、両サイドのエッジが利いた部位での「軽やかさ」の両立を叶えました。
チェアの座板は曲木を行ったあと、座繰り機という座面を削る機械で、お尻の形状に合わせて後方が立ち上がる形状に削り込んでいます。また、側面に10mmの幅を残して大きく削ぎ落とすことで軽快さを出しました。座面は木の質感を生かした板座と、クッションを張った張座から選ぶことができます。張座は、ベースとなるウレタンを3次元にカット加工して座板と同様立体的な形状を作り出しています。

(左)アームチェア 板座(右)アームチェア 張座
※材種はどちらもウォルナット
■商品の特徴(テーブル)
テーブル天板は側面に4mmの幅を残して大きく削ぐことで、細い線で構成したような軽快さを表現しました。脚の断面形状はチェア同様紡錘形で、直立ではなく踏ん張るように斜めに倒すことで、4本脚の美しい動物のような躍動感を感じるデザインです。

天板の素材には、新たに開発した中空構造の軽量無垢天板を使用。通常の無垢天板と比べて、半分ほどの軽さになり、反りにくいという特徴があります。さらに、木材使用量を削減できることから環境にやさしい工法です。
■デザイナーのコメント:隈研吾さん
20世紀のコンクリートの時代から、世界中が「木」に向かっている時代。それも単に「木を使えば良い」というものではなく、「木の潜在力」をどう引き出すか…そんな時代が本格的に来たなと感じています。今回、言葉を超えた魅力を持つ木との付き合いをもっと色々深めていきたい、そんな想いもあり、ダイニングチェアとテーブルの開発に至ったわけですが、食事をする際、こんなにモノが美味しく見える椅子やテーブルはないなと思っているんです。
その一方で、実は住宅空間だけではなく、例えばホテルのような空間だったら、この家具があるだけで「おもてなし」の精神が伝わってくると思いますし、オフィスに置いても今までの「オフィスは冷たい」というイメージを転換できるのではないかと…さまざまな建築・空間のタイプを超えた「価値」を発信できる家具ができたのではないかと思います。
クマヒダ アームチェア(板座)
サイズ | W59×D54×H72 SH41 AH63cm |
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素材 | ウォルナット/ホワイトオーク |
価格(税抜) | ウォルナット300,000円/ホワイトオーク260,000円 |
クマヒダ アームチェア(張座)
サイズ | W59×D54×H72 SH41 AH63cm |
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素材 | ウォルナット/ホワイトオーク |
価格(税抜) | ウォルナット258,000円~/ホワイトオーク218,000円~ ※張布によって価格が異なります、掲載画像は270,000円 |
クマヒダ テーブル
サイズ | W160×D90×H70cm、W180×D90×H70cm、W200×D90×H70cm、W220×D90×H70cm、W240×D90×H70cm |
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素材 | ウォルナット/ホワイトオーク |
価格(税抜) | ウォルナット580,000円~660,000円/ホワイトオーク480,000円~560,000円 ※サイズによって価格が異なります |