伝統×テクノロジー×デザイン。世界初のパラメトリック制御による「ヴォロノイ畳『TESSE』」が受注開始
建築を軸にインスタレーションから都市まで幅広いジャンルで国際的に活動する建築/デザイン事務所・noizが、明治時代創業の岐阜県の畳製作会社・株式会社国枝との協働により、パターン生成から製造までをパラメトリック制御する「ヴォロノイ畳『TESSE』」の開発を進めてきた。コラボレーション開始から数年を経て、2019年3月に『TESSE』の公式Webサイトを公開し、正式に受注を開始した。
『TESSE』は“Tessellation(平面充填)”からの造語で、独自のアルゴリズムにより、ユニークな分割パターンで生成される畳だ。この独特の形状は「ヴォロノイ・パターン」と呼ばれる幾何学形態で、キリンの模様やトンボの羽など、自然界に頻繁に現れるパターンである。今回公式ローンチした『TESSE』は、ブラウザ経由で部屋の形状や好みの分割数を入力、もしくは3Dスキャンなどにより部屋の形状をデジタルに取得することで、どんな空間にもフィットする独自のパターンを毎回新たに生成し、世界に一つだけのオリジナル畳を製作する、次世代型デザインと生産システムを採用している。
目地と光源の向きによって、銀色に光ったり濃鶯色に沈んだりと豊かな表情を見せる畳。目地の向きや形状といった、製作上の制限をパラメーターとしてプログラムに落とし込み、そのなかから製作可能なヴォロノイ・パターンを半自動的に生成することで、新しい畳の表現や生産、流通の可能性を引き出す。『TESSE』は、最先端のデザイン手法であるアルゴリズミック・ デザインの、世界的にみても稀な市販プロダクトへの活用事例だ。
noizはこれまでもアルゴリズムやコンピューテーショナルデザインの可能性を切り開き、建築やプロダクトのデザインへと応用してきた。noizの豊田啓介が誘致会場計画アドバイザーを務めた2025年大阪万博でも、このヴォロノイ図が会場構成の基本パターンとして採用され、新しい都市計画の形として注目を集めている。