第164回 梶原加奈子 (テキスタイルデザイナー)

[桐山登士樹の推薦文]

テキスタイルデザイナー梶原さんのデザインの世界を眺めていると布の可能性を見る事ができる。重なり合ったり、繋がったりする事で、これまで二次元で捉えていた布に突然生命が宿る。このテキスタイルならではの世界観を他のデザインで表現するのは難しい。微妙な色合いや多様な色柄、突然変異で生まれる表情(風合い)が、これまで均一的なテキスタイルの世界を有機的デザインにチェンジしてしまう。布と向き合う、布から学ぶ、布を使い込む、こうした行為から可愛らしいバッグやソックスやマフラーが生み落とされる。テキスタイルデザイナーは、マテリアルメーカーと一緒になって開発しているのだが2009年ミラノで見た「TOKYO FIBER展」の様に、新たなスキームがあればさらに可能性を追い求める事が出来そうだ。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹

デザインディレクター

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

梶原加奈子(テキスタイルデザイナー)

梶原加奈子(テキスタイルデザイナー)

テキスタイルデザイナー
1973年北海道生まれ。1998年多摩美術大学デザイン学部染織科卒業。2003年ロンドンの大学院、Royal College of Art, Fashion and Textilesに入学。2005年RCA卒業と同時にフリーランステキスタイルデザイナーとなりヨーロッパで制作活動。その後、日本に帰国しテキスタイルディレクターとして、日本産地と共に服地開発に精力的に取り組み、国内外のファッションとインテリアマーケットに生地を提案している。2008年自身のデザイン事務所「KAJIHARA DESIGN STUDIO」を設立し、10年ライフスタイルブランド「gredecana」のディレクターに就任。