第155回 小野里奈 (デザイナー)

[桐山登士樹の推薦文]

2004年のとやまデザイン賞は、小野里奈さんのコートハンガーの「DAVIDSON」が獲得した。当時、東北芸工大の助手だった小野里奈さんは、初々しさの残る爽やかな新米デザイナーだった。しかし、このデザインは単なるコートハンガーでなく、使う人を想像してしまうスペースの中のプロダクトだった。その四年後、今度は錫の特性を巧みに活用した籠のデザインを見せられ驚いた。ここにもカタチではないデザインがあった。想像するに、単にカタチで終わらないデザインを本気で求めている人なんだと思う。デザインは良質でありたい。しかし脇役で良い、そして拘りたい。僕には、そんな小野さんの声が聞こえてくる。生活が楽しく豊かであれば、モノは佇まいで良い。しかし、ちょっとはかまって欲しいデザイン達。素敵だ。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹

デザインディレクター

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

小野里奈(デザイナー)

小野里奈(デザイナー)

【略歴】
仙台市出身。東北芸術工科大学大学院修了後、同大学プロダクトデザイン学科助手を経て2007年秋にrinao designを設立。つくることや使うことが暮らしに寄り添うように、さまざまな地域の作り手と共にものづくりに取り組んでいます。

【受賞歴】
2004 富山プロダクトデザインコンペティション「DAVIDSON」とやまデザイン賞
2004 デザインコンペティション海南 the final「Q-pe」銅賞
2004 デザインコンペティション海南 the final「8-band」奨励賞
2005 コクヨデザインアワード2005「ORUCHO」審査員特別賞
2006 MUJI AWARD 01「SORI」銅賞

http://www.rinao.jp/