ミラノデザインウィーク2017 インタビュー/佐藤オオキ(nendo)

Photo:Akihiro YoshidaPhoto:Akihiro Yoshida
2003年の初参加から数えて、記念すべき15回目の出展となるnendo。テーマを「nendo : invisible outlines」とし、ファッションブランドの「Jil Sander」のショールームで4月4日から4月9日まで個展を開催した。Jil Sanderとのコラボレーション作品をはじめとする、最新作11作品を含む計16作品を展示。そのなかでもひと際目を引いたのは、水の中でクラゲのようにゆらゆらと漂う花瓶「jellyfish vase」。nendo代表の佐藤オオキさんに、作品についての意図やミラノデザインウィークに関して語っていただいた。
水の中で舞う、クラゲのような花瓶

「jellyfish vase」は、水を張った全長1,800mmの水槽内に設置した大小さまざまな30個の花瓶がそれぞれ適度に揺らめくよう、水流の強さや向きを細かく設計しています。極薄に成形した透明シリコンの花瓶は、グラデーション状に色が変化するように2回着色を施し、まるで「色の輪郭」のみが浮遊しているかのような表現を意識しました。

水で満たした花瓶の中に花を生けるのではなく、満たされた水の中に生けられた花と花瓶が同時に浮遊することで水の存在が希薄になるような、そんな新しい関係性を目指したんです。

Photo:Akihiro Yoshida

Photo:Akihiro Yoshida

Photo:Akihiro Yoshida

Photo:Akihiro Yoshida

「物事の輪郭」に注目した、15年目の挑戦

本展示は、16作品を通じてnendoの考え方のようなものを一緒に展示できたらいいのかな、と思っていました。サローネ自体が、ただ新商品を発表する場から、考え方やメッセージを発信していく場に変化している印象があります。

展示会場での佐藤オオキさん

展示会場での佐藤オオキさん

80 sheets of mountains/面材をカットして引き延ばすことで輪郭線による山並みを表現

80 sheets of mountains/面材をカットして引き延ばすことで輪郭線による山並みを表現

デザインにおいて、機能やコスト、使い勝手ということも大事ですが、今回は、単純に物事の輪郭に注目してみたいと思いました。モノそのものではなく、モノとモノの隙間や周辺を眺めていくと、意外とおもしろいものがあるんじゃないか?ということを発信できたかなと思っています。

エントランスに設置した紙でつくられたタイトルや会場で流す音楽、説明する動画もすべて自分たちで制作しました。紙製のタイトルは2日間かけて作業をしていたのですが、雨が降ったことで湿気でクタクタになったりというアクシデントもありました(笑)。従来の空間やグラフィック、プロダクトではない表現に挑戦できたのは、それこそたくさんの企業とタッグを組んだことで活動の範囲が広がってきているからなのかなと感じます。

エントランスに設置された、紙でつくられたタイトル

エントランスに設置された、紙でつくられたタイトル

会期中はありがたいことに、常時200人を超える行列でした。お待たせしてしまったのが本当に申し訳なかったのですが、中に入るとみなさん笑顔で鑑賞いただいていたのが印象に残っています。

また、場所は変わるのですが、2017年10月1日までベルギーの美術館「ル・グラン・オルニュ」にて個展を開催しています。nendoとしてはヨーロッパで初となる長期にわたる個展で、タイトルはミラノで展示した際と同じ「nendo: invisible outlines」。ミラノでの内容をさらに拡大して、79作品を12のテーマに沿って展示しています。こちらも多くの方にお越しいただけるとうれしいですね。

盛況さを物語る行列

盛況さを物語る行列

構成・文:石田織座(JDN編集部)

佐藤オオキ(nendo)/デザイナー
1977年カナダ生まれ。2002年に早稲田大学大学院理工学研究科建築学専攻修了。大学院卒業と同時にデザインオフィス「nendo」を設立。おもな受賞にWallpaper 誌(英)および、Elle Deco International Design Award デザイナーオブザイヤー」(2012年)など。代表的な作品は、ニューヨーク近代美術館、ビクトリア&アルバート博物館、ポンピドゥー・センターなど世界の主要な美術館に収蔵されている。

http://www.nendo.jp/