第303回 原嶋亮輔 (デザイナー/アーティスト)

[we+の推薦文]

量産や利便性に捉われず、デザインの新しい価値を探究することをコンテンポラリーデザインというならば、原嶋亮輔さんは間違いなく、日本の、しかも地方で活躍するコンテンポラリーデザインの体現者の一人だ。

古民具や伝統工芸に現代的な素材を掛け合わせる「STILLIFE」シリーズは、日本の古き文脈をグローバルへと接続する。ものづくりが盛んで、伝統文化や工芸と密に触れ合える金沢を拠点とするからこそ生まれた作品ではないだろうか。

これからのデザインやものづくりを考える上で欠かせないキーワードの交差点に、原嶋さんは立っているように思う。これからも、日本のコンテンポラリーデザインをともに盛り上げていきたい。

we+(コンテンポラリーデザインスタジオ)

リサーチと実験に⽴脚した独⾃の制作・表現⼿法で、新たな視点と価値をかたちにするコンテンポラリーデザインスタジオ。林登志也と安藤北⽃により2013年に設⽴。日々の研究から生まれた自主プロジェクトを国内外で発表しており、そこから得られた知見を生かした、R&Dやインスタレーション等のコミッションワーク、プロダクト開発、空間デザイン、アートディレクションなど、さまざまな企業や組織のプロジェクトを手がける。FRAME Awards、Wallpaper* Design Awards, Dezeen Awards、ELLE DECO International Design Awards等受賞多数。作品はドイツのVitra Design Museumなどに収蔵されている。

http://www.weplus.jp

編集部からの推薦文
工芸が盛んなまちとして有名な、石川・金沢を活動拠点にする原嶋亮輔さん。さまざまな工芸の工房や職人、製造メーカーとの密なコミニケーションを得意としている。

古民具を家具へと昇華させた「STILL LIFE」シリーズをはじめ、今回ご紹介いただいた作品からはどれも、新しくも長いあいだそこにあったような、不思議な佇まいや余韻を感じられる。領域にとらわれず、工芸の新しい着地点を探る原嶋さんの今後の活動により一層注目したい。
原嶋亮輔(デザイナー/アーティスト)

原嶋亮輔(デザイナー/アーティスト)

1980年生まれ。石川県金沢市でデザインを学び、2002年に渡米し、Parsons school of Designのファニチャー学科を修学。帰国後、デザイナーとして、工芸/産業分野をまたぎ、多岐にわたる商品開発ブランディングやデザインプロジェクトに携わる。2018年より古道具の「時を経た変容/変化(へんげ)」をテーマにしたSTILLIFEシリーズで、コンテンポラリーデザインの活動を展開。2022年より金沢クラフトビジネス創造機構の工芸ディレクター就任、工芸作家のビジネス支援やプロジェクトディレクションに従事。2023年、奥能登国際芸術祭・参加アーティスト、金沢21世紀美術館特別展「チョコレート 至高の名を与えられしもの」参加作家/企画ディレクション/キュレーターを務める。

https://ryosukeharashima.com/