PIXEL

2007-2024

PIXELはスクリーン状の構造体であり、壁面やパーティション、窓などの汎用性のある建材として機能しながら、アートワークのような体験装置としての可能性も秘めています。

この構造は日本の伝統的な建材である障子から着想を得ています。障子が和紙を通して向こう側の世界を「光と影」の要素のみに変換するフィルターのような役割を果たすように、PIXELの内部を光源となる要素が通過するとき、構造体の内壁に反射し、不要な要素が排除された「光と影」の純粋な姿へと変換されます。この現象は小さなスクエアとして現れ、グリッド状に繰り返されることで、無限に広がる風景を生み出します。PIXELはその名前が示すように、風景を創り出す最小の要素です。

PIXELのベースとなる構造は私が大学生の頃に制作したもので、現在までに多くの設計変更や調整を行い、アップデートを続けながら、さまざまな環境で使用されています。2017年には国際コンペティションである「LEXUS DESIGN AWARD 2017」にてグランプリを受賞、同年にはブラジル・リオデジャネイロで開催されたアーティスト、ダニエル・アーシャムの個展にインスタレーション素材として提供されています。

2018年、B&B ITALIA Tokyoとのコラボレーション展示や、2020年、中国・上海では大規模なインスタレーションとして展開。また、2024年にはオーストラリア・シドニーのプロジェクトに新作の設置が予定されています。

phyle x HIROTO YOSHIZOE
B&B Italia Tokyo X HIROTO YOSHIZOE
PIXEL
吉添裕人(空間デザイナー・アーティスト)

吉添裕人(空間デザイナー・アーティスト)

1986年生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業。独立後、都市開発や商業施設開発等の空間デザインを主軸としたクライアントワークに従事。制作活動では日本の文化背景や宗教観と通ずる「変化」「動き」「時間」といった不完全で流動性のある事象を扱う。なかでも変容し続ける「光と影」の要素を軸に探究。すべての事物(素材)は光と影を瞬間的にかたちに留め、認知するための媒体であると捉え、その間に生じる現象と知覚の関係性を用いて制作を行う。HUBLOT DESIGN PRIZE 2022 Finalist、LEXUS DESIGN AWARD 2017グランプリなど受賞多数。京都芸術大学非常勤講師。

https://www.hirotoyoshizoe.com/
https://www.instagram.com/hirotoyoshizoe/

2024/8/29 14:40