編集部の「そういえば、」―ビルのかたちをした公園「Ginza Sony Park」
そういえば、2018年からの3年間、銀座の数寄屋橋交差点に期間限定で出現した公園「Ginza Sony Park」が、新たに地上5階、地下4階のビルとなって生まれ変わりました。
今回は、2025年1月のグランドオープンに先立ち開催された、建築内覧ツアーの様子をお伝えしたいと思います。
Ginza Sony Parkを待ち合わせ場所や休憩スポットとして利用していた方、ランチ持参で昼休憩に利用していた方、ご安心を。新しいGinza Sony Parkも、数寄屋橋交差点や地下鉄コンコースからシームレスにつながり、ビルでありながら「公園」を体現していました!
設計したGinza Sony Parkプロジェクトのみなさんが、ここはテナントビルでも、商業ビルでも、ショールームビルでもない、ソニーが考える「都市のなかの公園」だというGinza Sony Park。そのあり方は、1966年から2017年まで同地に建っていたソニービルの「街に開かれた施設」という設計思想を継承したものです。ソニービル時代には、地上10坪の「ソニースクエア」というスペースが「銀座の庭」としてこの思想を象徴していました。
ほかにも、交差点・地下鉄・地下駐車場といった都市機能と建物を有機的に結びつける「ジャンクション建築」の考え、限られた敷地を有効的に使うための「縦のプロムナード」といった建築的要素が、新しいGinza Sony Parkに引き継がれ、拡張されています。では、今回のリニューアルでどのように進化したのでしょうか。
まず、5階の最上階は屋外スペースとなっていました。56mまでの建物を建てることができる銀座にあって、ここは約20mの高さしかありません。あえて低く構え、都市に「余白」を生み出すこの空間は、ソニーが考える公園のひとつのあり方。どのように時間を過ごすかは、来園者に委ねられています。
そして「縦のプロムナード」として、地下まで続く一筆書きの動線を構成するのがこちらの外階段。
この外階段を降りた4階と3階には、広い屋内スペースがあります。それぞれ天井高が異なり、外光の入り方も変わることで建物内にリズムを生み出しているこの2フロアは、期間限定で開催されるイベントやアクティビティによって色を変えていくそう。
こうしたスペースで開催されるアクティビティが「余白」と掛け合わさることで、人が集まり、思い思いの時間を過ごす都市の公園をつくりだすといいます。
さらに3階から2階へ降りると、銀座のビル風が吹き抜け、街の音や光が届く気持ちのいい空間に出ます。建物を覆うグリッドフレームは時間帯によって木漏れ日のような影を落とすそうで、まさに遊歩道の様相。
遊歩道は1階へ続き、さらに地下へと続く階段は一度建物の外の歩道を経由して降りていきます。
実際に建物の中を歩くと、いかに「自然に」都市を取り込み、都市に開かれた建築であるかを実感するGinza Sony Park。どこからが外でどこからが内なのかが分からなくなる、少し不思議で居心地のいい公園です。
銀座を行き交う人々がこの場所でどのような時間を過ごし、楽しむのか……2025年1月のグランドオープンがさらに待ち遠しくなりました。
■Ginza Sony Parkプロジェクト展
そういえば、Ginza Sony Parkに隣接する西銀座駐車場の一角、POP-UPスペース「Sony Park Mini」では、同プロジェクトを資料や写真で振り返る「Ginza Sony Parkプロジェクト展」が2024年9月29日まで開催されています。併設する西銀座駐車場コーヒーと一緒に、こちらもぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
(萩原あとり)