デザインの立ち話-LIXILがデザインウィークで発表した「bathtope(バストープ)」

こんにちは、JDNの山崎です。2024年の東京のデザインウィーク、さまざまなイベントが10月半ばから11月末まで開催されました。期間が広がり、もはや“ウィーク”という言葉は不適当かもしれません。見る立場としては、予定が重なり行けないということが減ってありがたいです。
世界最大のデザインウィークと言えばミラノですが、ミラノ市の人口は約140万人、ミラノ大都市圏で約330万人、対して東京は23区だけで約1,000万人です。これだけの人が常にいるので、さまざまなイベントや展示がいつでもどこかで開催されているのはご存じの通り。日程の分散は、東京という巨大な都市ならではのあり方とも思えます。
■2024年を振り返って印象的だったデザインの一つ「bathtope」
そんなことを考えながら、年末を迎えたいま、デザインウィークを含めて東京の2024年で何が印象に残ったかなぁと振り返りました。
視点によって選ぶものは変わってきますが、とても挑戦的なプロダクト「bathtope(バストープ)」は外せないと思いました。デザインウィークの中軸となっている「DESIGNART(デザイナート)」で展示されたので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
■コンセプトは「浴室の開放」
bathtopeは、使わない時は畳んで収納できる、布製の浴槽を備えたバスルーム。こんな攻めた製品ですが、展開するのがLIXILということにも驚きを感じます。一見した印象はハンモック。個人的にハンモックへの漠然とした憧れがあり、惹かれてしまいます。
使われない時間が多い湯舟を取り外せることで、水回りのスペース効率を高めるという新たな価値の提案です。私は湯舟につかる派ですが、若い頃はシャワーだけで済ますことが多く、これなら普段は広々と使えて、たまに湯舟につかるという時に便利だなと思いました。
それにしても、思いつくことはできそうだけど、実際に形にして世に問うところまで持っていくのは簡単なことではないはず。これまでの樹脂の湯舟とは素材もつくり方も違うから既存の製造の流れは使えないし、既存のユニットバスとのカニバリもあるのではないかと思います。
説明を聞くと、シャワーブースと固定の湯舟を持つユニットバスの中間領域を狙った新カテゴリーの商品とのこと。なるほど。
製品としては、湯舟の受けの強度の問題もあるので布製湯舟だけではなく、それを含むバスルームとしての展開になっており、仕様違いで3種類あります。リフォームやリノベーション、新築物件での導入により、これまでにない新しい住空間が生まれるのではないでしょうか。
私が東京に出て来た頃、秋に「デザイナーズサタデー」という名前のインテリアショップを巡るイベントがありました。これが後の東京デザイナーズウィークになります。そして、これとはまた別なイベントが生まれてきたという経緯があります。
この30年でその様子がだいぶ変わった東京のデザインウィークですが、bathtopeのようなデザイン面で特徴ある製品を打ち出せる場は、これからも求められるだろうと思います。
DESIGNARTで発表されたbathtopeは、“いいふろの日”の2024年11月26日に発売を開始しています。これまでにない発想を可能にする新しい製品なので、導入事例ができたらぜひ拝見してみたいですね。ではまた!
LIXIL bathtope
https://www.lixil.co.jp/lineup/bathroom/s/bathtope/