JDN編集部の「そういえば、」2020年3月

JDN編集部の「そういえば、」2020年3月

ニュースのネタを探したり、取材に向けた打ち合わせ、企画会議など、編集部では日々いろいろな話をしていますが、なんてことない雑談やこれといって落としどころのない話というのが案外盛り上がるし、あとあとなにかの役に立ったりするんじゃないかなあと思うんです。

どうしても言いたいわけではなく、特別伝えたいわけでもない。そんな、余談以上コンテンツ未満な読み物としてお届けする、JDN編集部の「そういえば、」。デザインに関係ある話、あんまりない話、ひっくるめてどうぞ。

マーガレット・ハウエルの映像から受け取る、変わらないということ

そういえば、この前アパレルブランド「マーガレット・ハウエル」の50周年を記念したショートムービー「MH50 – 50 Years of Design」を観ました。

マーガレット・ハウエルには少なからず思い入れがあるのですが、20代半ばの頃、ちょうど震災直後だったということもあり、暮らしていくことや生活することについて、あらためて考え直さなければいけないと思っているタイミングで、『マーガレット・ハウエルの「家」』という本に出会ったんです。

今回のショートムービーをきっかけにその本を読み返したのですが、なんだか当時からいまにいたるまでの10年弱、洋服や家具、身の回りのもののについての考え方や、さまざまなデザインへの視点の持ち方のベースとなるものがここにあるなあとあらためて感じてしまいました。その時はバウハウスなんて知らなかったし、柳宗理はおろかミッドセンチュリーというのがどういうものなのもわかっていなかった。

「50 Years of Design」というサブタイトルがつけられた映像は、50年間の歩みを、クロノロジカルにたどるのではなく、さまざまな年代のビジュアルを並列してみせることで、いかにマーガレット・ハウエルがスタンダードであるということに向き合いつづけ、一貫したものづくりをしてきたのかを描いていきます。縫製などを行うスタッフたちの姿を映したブランド設立の際の写真と現在の様子を対比させる映像にも、その変わらないあり方にはっとさせられます。

さらに印象的なのは、それぞれの素材がもつ肌理の質感を感じさせるカットが多用されているということ。ハリスツイードやコーデュロイのコート、ニットのカーディガン、リネンやコットンのシャツなど、吊られたまま風で揺れるその姿や、光を受けて透き通るその様、そして腕を通すことで生まれる動きからは、素材がもつ“色っぽさ“のようなものを感じさせて、うっとりと見入ってしまいました。

10分弱のこの短い映像では、ことさらに50周年を謳うようなことは決してなく、ただ静かなシークエンスとマーガレットの語りが続いていき、驚くほどさらっと終わってしまいます。ブランドの世界観を飾らない映像で表現するものとして、これほどのものはないなと感じました。

桜の花が開き、春を迎えようとするいまの季節におすすめの映像なので、ぜひ。不安を抱えることなく、またゆったりと散歩に出かけられる春が来るのを願って。

(堀合俊博)

八幡屋礒五郎のスパイスマカロン

そういえば、最近おみやげでちょっと風変わりなお菓子をもらいました。これは、長野で270年以上続く七味唐辛子メーカー「八幡屋礒五郎」のスパイスマカロンです。

八幡屋礒五郎のスパイスマカロン「紫蘇」味

八幡屋礒五郎のスパイスマカロン「紫蘇」味

アーモンドパウダーとメレンゲを混ぜて焼いた生地に、バタークリームをひとつずつサンドしてあり、基本の種類は「唐辛子」「麻種」「紫蘇」「生姜」「山椒」「胡麻」「柚子」の7つ。季節限定として、春の「桜」や、夏の「塩レモン」などの味もあるそうです。

八幡屋礒五郎 スパイスマカロン

それぞれ「桜」「柚子」「胡麻」味

食べてみると、噛んだ時に風味がふわっと一瞬で広がり、強すぎず弱すぎずちょうどいい甘さとスパイスのバランスになっています。「甘すぎるマカロンはちょっと苦手……」という方にも食べやすい一品だなと感じました。

そのほか、八幡屋礒五郎では七味唐辛子などのスパイスはもちろん、ハンドクリームや練香水などのコスメシリーズもあり、それぞれ“パケ買い”したくなるデザインのパッケージにも注目です!

長野県だけでなく、20都道府県の百貨店などでもお取り扱いしているそうなので、ぜひ一度手にとってみてください。まだ先行き不安ですが、美味しいものや自分が好きなものを愛でて、日々を大切に過ごしていきたいですね。

(石田織座)