2月28日に銀座・和光の会議室で、今年のミラノデザインウィーク(以下MDW)に初出展するグランドセイコーのメディア説明会を開催した。今回、総合プロデューサーとして参加しているが、会場が和光ということもあり、いつになく緊張感を覚えた。


記者発表にて展示されていた、グランドセイコー
昨秋にはグランドセイコーの製造拠点である、長野県・塩尻と岩手県・雫石にある工場を訪問。都市の喧騒と距離を置くこの場所は、日本の四季を身近に感じることのできる心地よい環境にあり、そこには自然の中で「時」と向き合い、「時」の進化を考える人たちがいた。一秒一秒の世界にこだわりあらゆる可能性を追う、静かでありながらも濃密な時間が流れており、高精度な時計づくりに向かうそのひたむきな姿勢に心打たれた。

出展テーマは「THE FLOW OF TIME」。時間を感じるインスタレーションとなる予定
今回のミッションは、ブランドの要となる独自の技術「スプリングドライブ(高精度を実現したセイコー独自の駆動機構)」をアピールすることである。デザインチームは、TAKT PROJECTと阿部伸吾さん、森ひかるさん(ZITIMORI)、筒井真佐人さん、大木大介さん、木村愛さん、高橋琢哉さんほか、気心の知れたメンバーとした。

実際の展示ではどのように表現されるか楽しみな、グランドセイコーを形づくるパーツが内包された装置
ブランディングというリスキーなプロジェクトには意欲的であり、かつ安定感が求められる。失敗は許されない。2005年からMDWで始めたプロデュース、キュレーション業も今年で14回目。さて、評価をいただけるか楽しみだ。
桐山登士樹(デザインディレクター)
株式会社TRUNKディレクター、富山県総合デザインセンター所長、富山県美術館副館長。
30年に渡ってデザインの可能性を探り、さまざまな基盤や領域の活動を実践。特に1993年から今日まで「富山県総合デザインセンター」で地域のデザイン振興に携わり、商品化を前提とした「とやまデザインコンペティション」を企画・実施。地域の資産を生かした「幸のこわけ」の企画・商品化で成果を創出。
これまで、YCSデザインライブラリーや富山県総合デザインセンターなどのインフラ整備に参画。展覧会では「ニューヨーク近代美術館巡回 現代デザインに見る素材の変容(1996)」「イタリアデザインの巨匠/アキッレ・カスティリオーニ展(1988)」「日蘭交流 400周年記念 DROOG & DUTCH DESIGN展(2000)」「イタリアと日本 生活のデザイン展(2001)」「80歳現役デザイナー長大作展(2001)」他多数。ミラノデザインウィークでは2005年よりレクサス、キヤノン(エリータデザインアワード2011グランプリ受賞)、アイシン精機(Milano Design Award 2016 Best Engagement by IED受賞)、セイコーウオッチ「THE FLOW OF TIME」を総合プロデュース(2018)。メゾン・エ・オブシェでは、JETRO広報ブース「Japan Style」、伝産協会の海外販路プロデューサーを担う。「2015年ミラノ国際博覧会」日本館広報・行催事プロデューサー(金賞受賞)。共書「ニッポンのデザイナー100人」(朝日新聞社)。経済産業省「世界が驚く日本2016」研究会座長ほか。
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