鏡のある窓

大きな窓と鏡が持つ反射の効果により、新たな視線や開放性を生み出したオフィス

デザインコンセプト
担当:松本光索

現代アートのギャラリー、工房、オフィスからなる複合施設のオフィス部分をリノベーション。本プロジェクトは、3か月間にわたる現場での滞在設計、施工により完成した。

入り口に立つとまず目に入ってくる2×2.5mの大きさの既存の窓は、当初ただの殺風景な隣家に対して開いていて、この大きな窓をどのように扱うかが新たな空間の性格を決めることは明確だった。

外に開くべき対象のない窓の活かし方について考えた時、いっそこの窓を新たにつくる内部空間に対して開くことができないかというアイデアにいたった。そこで、窓先の小さな土間部分に、窓と同じ高さの2mの鏡を塀全体を覆うようにして設置した。

鏡には窓を通した内部空間だけではなく、隣家に面した外壁や周辺の環境など、普段は見ることのなかった建築の表情がさまざまな角度から映り込み、空間に新たな視線の行き先や奥行き感を生み出す。また、引き違いであった既存窓を取り外して再利用し、引き戸を室内側に新たに設けることで、開放時には大きな開口によって土間と内部空間が一体化する。

大きな窓と鏡が持つ反射の効果によってインテリアとエクステリアの関係を混在させ、建築空間に新しい視線や開放性を持ち込むことを試みた。

所在地 東京都八王子市
設計 松本光索
施工 松本光索、桶屋
施工協力 濱田崇裕、Hachiji Inc.
用途 オフィス
床面積 30m2
構造 木造
撮影 表恒匡