- デザインコンセプト
- 担当:木下昌大/KINO architects
九州に本社をおく農機具メーカー「OREC」のショールーム。ブランドイメージの発信拠点かつ、地域コミュニティとイベントを通して関わる場所として長野市が敷地に選ばれた。というのも、同社の主力製品である乗用草刈機は果樹園でひろく利用されており、敷地が接道する国道18号、通称「アップルライン」の生活圏にある農家約4,000戸のうち、約半数が果樹園を営んでいるからだ。
アップルラインを利用する農家へ同社の製品をアピールするため、道路と平行に棚を設け、農機具のスケールを活かした立体的な展示方法を採用した。この棚から深く庇(ひさし)を伸ばし、棚の周りにさまざまなスペースを広げる構成としている。棚は、建物の水平力を負担する耐力壁にもなっており、周囲に解放的な空間を生み出す。天井が高いショールームにおける夏季の強い日差しを、この深い庇で避けるという狙いもある。
棚の構造用合板をそのまま「現し(構造部分を露出させる仕上げ)」で用いることで、ショールームを温かみのある木質の空間にするだけなく、自然とともにある会社のブランドイメージの構築をはかった。社の理念と製品をアピールすると同時に、地域の農家や住人と関わる場所。ここには、ショーケースからはみ出た大きな軒下空間が大切だと考えた。
設計 | KINO architects |
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所在地 | 長野県長野市 |
用途 | オフィス、ショールーム |
構造 | 木造一部鉄骨造 |
階数 | 地上1階 |
敷地面積 | 1873.05m2 |
建築面積 | 497.98m2 |
述床面積 | 465.34m2 |
施工 | 千広建設 |
撮影 | 阿野太一 |