空中回廊

斜面を生かした、自然と共存できる二世帯住宅

デザインコンセプト
担当:宇佐見寛/アトリエ ルクス 一級建築士事務所

東西に細長い、7mの高低差のある傾斜地に、親子二世帯の住まいを設ける計画からはじまった。近隣住宅のように土砂や崖くずれを防ぐための擁壁で、宅地を確保しようとすると、住居スペースが限られ、許容オーバーとなってしまう。そこで、傾斜下の住居の外壁を土留めの役割を果たすRC造(鉄筋コンクリート構造)にした。それにより住居スペースが充分に確保でき、二世帯の分棟を実現した。

棟と棟は、勾配のある中庭で緩やかに分け、その庭に斜面を生かした2つのスロープや階段を配置することによって、半外部空間でつなげることにした。中間に半外部空間があることによって、各棟へ移動するときに、常に風や光など自然を感じることができる。

また、庇(ひさし)を大きくすることによって縁側空間が生まれ、外へ赴くきっかけとなる場を配置した。庇を大きく出した分、開口を大きくすることができるので、傾斜上の棟の一階部分は東西に全開放できる開口を配置。辺り一帯の景観を見渡せる、開放的な空間を計画した。全開放することによって、より一層、自然とのつながりも強くなった。

傾斜地を、擁壁による制限で限られた場所にしか建てられない住居にするのではなく、斜面を生かし、自然と緩やかに共存できる住まいを実現した。

所在地 愛知県名古屋市
設計 アトリエ ルクス 一級建築士事務所
構造 鉄筋コンクリート造+木造
階数 地下1F、地上2F
撮影 Daisuke Shima