河口湖とらのこ保育園

コミュニティの核となる、開かれた保育園

デザインコンセプト
担当:山下貴成建築設計事務所

山梨県の富士河口湖町に建つ、2歳までの子どもたちが通う小さな保育園。

敷地は、遠くに悠然とそびえ立つ富士山が望め、3棟の高齢者施設が取り囲む中心にある。もともとここに建っていた建物の2階に保育室があったが、毎日の階段の上り下りや、子供たちが部屋を出てしまった時の安全性、何より元気に遊び回れる園庭がなかったため、新しく保育園を建てることになった。

高齢者施設では音楽会や体操教室などのレクリエーションが日々行われ、お年寄りは散歩を兼ねて施設間を行き来する。また、クリニックに訪れる地域の人々や働く職員も多いことから、ここは子供たちを預かる保育園の施設というより、もっとみんなが気軽に集まれる大らかな場所をつくろうと考えた。

囲まれた敷地に対してさまざまな方向に開くように、いくつかの屋根をふわふわと曲線に架けた。緩やかに湾曲した屋根は、園庭の大屋根ひろばや地域に開かれたラウンジ、14人の園児が過ごす保育室、富士山が見えるランチルーム、事務室をそれぞれ分節しながら、ひと繋がりの柔らかな環境をつくり出した。屋根の下では元気に遊び回る子どもたちがいたり、ひと息つくお年寄りがいたり、軒先で立ち話をするお母さんやひなたぼっこをするネコなどが、木陰に集まるようにし、和やかなひと時をみんなで楽しめるようにした。また、外や中の壁面には絵本作家のミロコマチコさんに、保育園名を象徴するような虎の絵を描いてもらった。

この保育園が世代や地域を超えたコミュニティの核となり、 豊かな交流を育む、開かれた建物になればと思っている。

所在地 山梨県南都留郡富士河口湖町
設計 山下貴成建築設計事務所
壁画 ミロコマチコ
用途 保育所
敷地面積 296.13m2
建築面積 177.24m2
延床面積 170.66m2
構造 鉄骨造(一部木造)
階数 平屋
撮影 山下貴成建築設計事務所