ファミリア プリスクール

子どもが成長するためのベース空間

デザインコンセプト
担当:五十嵐久枝/Igarashi Design Studio

1950年創業の日本の老舗ベビー子ども服ブランド「ファミリア」が新規に保育園事業を展開するに当たり、その園舎のインテリアデザインを依頼された。

子どものための空間ではあるが、子どもの好みに寄せすぎず、大人にとっても居心地の良い雰囲気をつくりだすこと。子どもたちの生活や行動、活動によって、家具のレイアウトや壁面の装飾が変えられ、その表現をやさしく包み込む場となること。ファミリアの保育とデザインに対する取り組みなど、実直な姿勢を感じとり、成長するためのベースとなる空間をつくりたいと考えた。

オフィスビルだった建物は無機質なカーテンウォールを持つ外観のため、有機的な自然木のラインをもつバギー置き場をしつらえた。地下1階から3階までの4フロアを持つ内部は、白い壁とコルク材の床を基調とし、部屋ごとに違うテーマカラーの壁をつくり、色を日常生活に取り入れている。テーマカラーは発達段階に同調するポジティブなイメージをもつ色を選んだ。

1歳児(ライトブルー/優しさ・爽やかさ・清潔)
2、3歳児(オレンジ/快活・情熱・自発)
4、5歳児(パープル/芸術・思いやり・インスピレーション)

丸穴型の開口は、隣の部屋やキッチンの様子を自然と意識させるコミュニケーションツールでもある。壁は部分的に磁石が取り付けられるようになっており、子どもたちの描く絵を飾ることができる。教育メソッド(レッジョエミリア保育)にのっとり、3階のアトリエスペースは子どもの創造活動を妨げないよう広く確保し、ファミリアのテーマカラーのブルーとダークな木質により、落ち着いた雰囲気のなかで制作に集中できるようにした。一角には書架になった切り株の周りやうろの中に子供達が集まる。屋上は木材を山なみのシルエットにカットした塀で囲み、都心の保育園でありながらも空の広がりや自然を感じられる遊び場とした。

所在地 東京都港区白金台4丁目10−8
デザイン 五十嵐久枝 / Igarashi Design Studio
オープン 2015年4月
施工 株式会社イシマル
延床面積 487.5m2
撮影 Nacasa & Partners