文響社のオフィス

期待感・緊張感・一体感を体現するオフィスデザイン

「うんこドリル」シリーズなど、出版をはじめとする教育エンターテインメント事業を展開する株式会社文響社。そんな同社は、2025年2月にオフィスを移転しました。

遊び心と知的な創造性を兼ね備えた同オフィスについて、設計を担当した株式会社ambosの石井一東さんにデザインコンセプトや空間の特徴などをついてうかがいました。

■コンセプト

文響社の新オフィスは、「うんこドリル」で一世を風靡した同社の創造性を体現しつつ、出版という知的創造の場にふさわしい空間づくりを目指しました。出版社としての知的な遊び心を誘発する「期待感」、集中を支える適度な「緊張感」、そして社内外の交流を自然に生む「一体感」を兼ね備えています。

出版を始めとした教育エンターテインメント企業「文響社」の移転プロジェクト。エントランスから続く来客エリアは、開口部へと視線が抜ける。空間の中央にカウンターを据え、カウンター内には3Dプリントで製作したキャラクターのオブジェを配置し、同社の遊び心を演出している。右手壁面のアートは故金あかり氏が手掛けた文響社をイメージした焼き物のオリジナル作品が飾られている

出版を始めとした教育エンターテインメント企業「文響社」の移転プロジェクト。エントランスから続く来客エリアは、開口部へと視線が抜ける。空間の中央にカウンターを据え、カウンター内には3Dプリントで製作したキャラクターのオブジェを配置し、同社の遊び心を演出している。右手壁面のアートは故金あかりが手がけた文響社をイメージした焼き物のオリジナル作品が飾られている

■課題となった点、デザインの手法、特徴

エントランスに足を踏み入れると、角の取れた柔らかな天井や壁が温かみのある素材とともに来訪者を包み込み、文響社らしい柔和な社風を感じさせます。

ビル最上階という立地を活かし、来客エリアはエントランスから窓面へとまっすぐ導かれる構成とし、執務エリアは窓に面するようベース席を配置しました。自然光と眺望を最大限に取り込み、開放感と集中性を両立しています。

来客エリアのフリースペース。執務エリアとは別に、ソファやイスを配して多様な居場所を設けた。天井や壁の出隅も角を取り、柔らかな印象としている

来客エリアのフリースペース。執務エリアとは別に、ソファやイスを配して多様な居場所を設けた。天井や壁の出隅も角を取り、柔らかな印象としている

また、躯体のガラス面が天井高の約3分の2である特性を設計基準として活かし、内装のガラス面や垂れ壁、腰壁、家具の高さまで寸法をそろえることで、建築から家具までが一体的に感じられる空間を実現しました。

来客エリアから会議室方向を見る。垂れ壁や腰壁、家具の高さをそろえ、空間に一体的を感じられるように設計されている

来客エリアから会議室方向を見る。垂れ壁や腰壁、家具の高さをそろえ、空間に一体的を感じられるように設計されている

廊下中央に設けた大きなカウンターは、デザイナーの発信や社員同士の交流の中心として機能し、スタンド型のカフェカウンターやソファ席など多様な居場所が働く姿勢や気分の切り替えを柔軟に支えています。

スタンド型のカフェカウンター。気分転換を兼ねて立ちながらのブレインストーミングを行ったり、会議前後に飲み物を片手に気軽な会話を交わせるような設えに

スタンド型のカフェカウンター。気分転換を兼ねて立ちながらのブレインストーミングを行ったり、会議前後に飲み物を片手に気軽な会話を交わせるような設えに

■その他

さらに、陶芸家・故金あかりによる陶器作品や、光伸プランニングが制作した3Dプリントの「うんこ先生」やオブジェが随所に配置され、文響社ならではの遊び心と創造精神を空間に深く刻み込んでいます。

文響社
所在地 東京都港区赤坂1-12-32
設計 石井 一東/株式会社ambos
施工 B工事:森ビル、C工事:リムズ
延床面積 720m2
竣工日(開業日) 2025年4月1日
撮影 堀越圭晋/エスエス